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2021 年度 実施状況報告書

20世紀アメリカを中心としたトランスナショナルな法文化圏の形成と変容

研究課題

研究課題/領域番号 18K00914
研究機関上智大学

研究代表者

石井 紀子  上智大学, 外国語学部, 教授 (60407385)

研究分担者 小滝 陽  関東学院大学, 国際文化学部, 講師 (00801185)
今野 裕子  亜細亜大学, 国際関係学部, 講師 (10707623)
佐藤 雅哉  愛知県立大学, 外国語学部, 講師 (30816319)
牧田 義也  上武大学, ビジネス情報学部, 講師 (90727778)
上田 朋広 (上林朋広)  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 日本学術振興会特別研究員 (70876250)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードアメリカ / 法文化圏 / トランスナショナル・ヒストリー / 20世紀
研究実績の概要

本研究は、20世紀のアメリカ合衆国(以下アメリカと略記)および関連諸地域における法秩序・規範の編成過程を、トランスナショナル・ヒストリーの観点から考察する。この時期、人・制度・思想の国際的な移動や移転が加速した結果、共通の価値体系に基づく「法-文化圏」が複数の国や地域に跨って形成された。こうした法-文化圏の境界線上で引き起こされた事象に着目することで、対象地域における法秩序や規範が、国境を越えて形成・更新・拡張された過程を検証するのが本研究の狙いである。
1年の期間延長により、本研究会は4年目を迎えた。4年目の主な活動は、引き続きトランスナショナル・ヒストリーや法文化に関わる研究動向を踏まえた議論を行うとともに、論文の相互批評を行った。また、各自が論文の校正を行った。その結果が、論文集『「法-文化圏」とアメリカ―20世紀トランスナショナル・ヒストリーの新視角』(上智大学出版、2022年)として結実した。公衆衛生、移民(排斥)、宗教、思想、難民支援、人権問題といった諸分野において、各メンバーが強みを活かしながら書き上げた論考を全体としてまとめたとき、改めて「法-文化圏」という分析枠組みの持つ強みが明らかになるとともに、その限界も浮き彫りになった。
本研究の意義は、「トランスナショナル」という、便利だが一貫性に乏しく分析的な精度の低い概念に、法や規範をめぐる価値体系という側面から光を当て、越境史や国際関係史の範疇に収まりきらない現象の析出を可能にしたことにあろう。一方で、西洋中心主義的な近現代史観を乗り越えるには、まだ限界もある。今後の課題としたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究成果として論文集を出版することができた。

今後の研究の推進方策

「法-文化圏」やトランスナショナル・ヒストリーの今後の発展性について、論文集の反省点を踏まえながら議論を行い、関連する研究の整理を行う。
また、海外渡航の条件が一部緩和されたことを受け、滞っていた海外調査の実施や国際学会への参加を予定している。

次年度使用額が生じた理由

感染症の状況を加味し、海外渡航や対面式の会議を控えたことによって経費が節約できた。今後は国際学会への参加や海外調査の実施を予定している。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Makhosazana Xaba, ed. Our Words, Our Worlds: Writing on Black South African Women Poets, 2000-2018. Pietermaritzburg: University of KwaZulu-Natal Press 2019 xii+315 p.2022

    • 著者名/発表者名
      上林 朋広
    • 雑誌名

      アフリカレポート

      巻: 60 ページ: 29~29

    • DOI

      10.24765/africareport.60.0_29

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「脱アメリカ化」のためのリハビリテーション:南ベトナムにおける責任委員会の活動と冷戦期人道援助規範の変容2022

    • 著者名/発表者名
      小滝陽
    • 雑誌名

      アメリカ太平洋研究

      巻: 22 ページ: 93~109

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 植民地期フィリピンにおける保健衛生事業と赤十字人道主義2022

    • 著者名/発表者名
      牧田義也
    • 雑誌名

      アメリカ研究

      巻: 56 ページ: 69~91

  • [雑誌論文] Imagining an Anti-Racist Cosmopolitanism: Localization, Imperialism and Transnational Women's Activism in Interwar Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Ishii Noriko
    • 雑誌名

      Journal of Colonialism & Colonial History

      巻: 22 ページ: -

    • DOI

      10.1353/cch.2021.0044

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ズールー・ナショナリズムにおける「曖昧さ」の縮減 : 1930・40年代のズールー語教科書出版における白人行政官と保守的ズールー知識人の協調2021

    • 著者名/発表者名
      上林 朋広
    • 雑誌名

      一橋社会科学

      巻: 13 ページ: 117~144

    • DOI

      10.15057/71966

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 書評 田中正隆著『アフリカの聞き方、アフリカの語り方ーメディアと公共性の民族誌』2021

    • 著者名/発表者名
      上林 朋広
    • 雑誌名

      アフリカ研究

      巻: 100 ページ: 146~149

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Reversing the Flow: ‘Civilization’ and ‘Tradition’ in John L. Dube’s Ukuziphatha Kahle (Good Manners)2021

    • 著者名/発表者名
      Kambayashi Tomohiro
    • 雑誌名

      Five Hundred Years Archive, Archive and Public Culture, University of Cape Town

      巻: - ページ: 1~13

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 歴史史料としてのズールー語教科書: 白人行政官 James Stuart(1868-1942)の歴史書を読み解く2022

    • 著者名/発表者名
      上林朋広
    • 学会等名
      基盤研究(B)「歴史研究の観点から見た現代アフリカの紛争」研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 南アフリカ・ナタール州のアフリカ人統治におけるズールー王家の利用:James Stuart(1868-1942)のズールー語歴史教科書に着目して2021

    • 著者名/発表者名
      上林朋広
    • 学会等名
      日本西洋史学会大会
  • [学会発表] マンデラについて考えること、マンデラを通して考えること:暴力の中の非暴力的契機2021

    • 著者名/発表者名
      上林朋広
    • 学会等名
      日本アフリカ学会第58回学術大会
  • [学会発表] 【コメント】『エチオピア帝国再編と反乱(ワヤネ):農民による帝国支配への挑戦』(春風社、2021年)合評会2021

    • 著者名/発表者名
      上林朋広
    • 学会等名
      第46回武蔵野アフリカ研究会(アフリカ学会関東支部例会・武蔵野アフリカ研究会共催)
  • [学会発表] アフリカ言語と植民地支配:南アフリカにおけるズールー語学習の歴史を中心に2021

    • 著者名/発表者名
      上林朋広
    • 学会等名
      第271回「歴史と人間」研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 時間を遡行する:ジョン・デュベの行儀作法書Ukuziphatha Kahleにおける「文明」と「伝統」2021

    • 著者名/発表者名
      上林朋広
    • 学会等名
      第3回アフリカ歴史・人類学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Reversing the Flow: ‘Civilization’ and ‘Tradition’ in John L. Dube’s Ukuziphatha Kahle (Good Manners)2021

    • 著者名/発表者名
      Kambayashi Tomohiro
    • 学会等名
      Research Development Workshop, Archive & Public Culture, University of Cape Town
    • 国際学会
  • [学会発表] (Commentator) Wade Smit, The layered imibuso of the isiBubulungu eThekwini before the establishment of Port Natal: 1690-18242021

    • 著者名/発表者名
      Kambayashi Tomohiro
    • 学会等名
      Research Development Workshop, Archive & Public Culture, University of Cape Town
    • 国際学会
  • [学会発表] Epic collaboration: Mazisi Kunene and Japanese anti-apartheid activists2021

    • 著者名/発表者名
      Kambayashi Tomohiro
    • 学会等名
      韓国アフリカ学会
    • 国際学会
  • [図書] 「法-文化圏」とアメリカー20世紀トランスナショナル・ヒストリーの新視角2022

    • 著者名/発表者名
      石井紀子・今野裕子(編著)、上林朋広・小滝陽・佐藤雅哉・牧田義也(著)
    • 総ページ数
      242
    • 出版者
      上智大学出版
    • ISBN
      9784324111192
  • [図書] 激動期のアメリカ *佐藤雅哉「いかにしてトランプ外交は生まれたか?―歴史と国際関係から―」74-912022

    • 著者名/発表者名
      山岸敬和・岩田仲弘(編著)、松本俊太、武井寛、松本佐保、佐藤雅哉、花木亨、長畑明利、白石亘、赤川肇、杉藤貴浩、吉田通夫、金杉貴雄(著)
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      大学教育出版
    • ISBN
      9784866921822

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公開日: 2022-12-28  

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