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2022 年度 実績報告書

冷戦期イギリス文化外交における文化触変の理論的・実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00916
研究機関早稲田大学

研究代表者

渡辺 愛子  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10345077)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードイギリス文化外交史 / 冷戦期 / 文化理論 / 実証研究
研究実績の概要

本研究課題は、歴史的文脈における政治的な文化の様相を理論と実証の両側面から考究するものであった。ここで議論の焦点となるのは、冷戦の中心的アクターとは一般的に認識されてはいないものの、その非中心的な立場が、むしろ支配的な政治外交に周縁化された文化の抵抗を考えるうえで非常に示唆的なイギリスである。東側陣営との政治外交が行き詰まりを見せたこの時期、これを打破する糸口として行使された国民国家の代表としての「イギリス文化」が、いかなる操作や加工処理を経て東側に発信され、どのように受容され、またどのような効果をもたらしたのか。本研究課題では、①政府官庁内部資料や当時の定期刊行物の実証研究を礎に史実を精査するとともに、②表象としての文学作品から、当時の主観的気運をとらえ、さらに、③現在、有用と目されている文化理論からこの時代を省察することによって、冷戦期の東西両陣営をめぐる文化投影の多様性とダイナミズムの真相を究明することを目的とした。
しかし、研究期間中の2020年にコロナ禍が始まり、日本国内・国外でのコロナ規制に阻まれていた際には、①の一次史料収集が頓挫した。そこで、②のテーマを中心に二次文献を読み込むことに傾注し、③との関連性について考察した。①については、遅ればせながら、2021年度の後半にロンドンの公文書館に赴くことが叶い、主要史料の一部を閲覧することができた。②の研究期間が長かったこともあり、イギリス文化のなかでも文学作品の政治的有用性について深く考察することとなった。とくに冷戦期にイギリス政府がソ連・東欧諸国に普及を試みたジョージ・オーウェルのディストピア小説『一九八四年』がどのように共産圏に浸透して行ったのか、その実態の一側面とポスト構造主義以降の文化理論の援用について仮説を得ることができたのは大きな収穫であった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 書評「川端康雄著『ジョージ・オーウェル―「人間らしさ」への讃歌―』」2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺 愛子
    • 雑誌名

      『英文学研究』

      巻: 99 ページ: 49-54

    • 査読あり
  • [学会発表] 「LockDOWN and OUT in Vienna and Cambridge~ウィーン・ケンブリッジ滞在記~」2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺 愛子
    • 学会等名
      日本オーウェル協会
    • 招待講演
  • [備考] 渡辺 愛子研究室

    • URL

      https://aiko-waseda.net/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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