近代の奄美諸島は多くの出郷者を出したが、外地の移住先は突出して台湾であった。奄美諸島出身の在台者数を通時的に把握するのは困難だが、1929-38年の大島郡の統計によれば、奄美諸島の現住人口の約3.3%が外地に住み、その半数ちかくが台湾に居住していた。出郷者たち向けの雑誌『奄美大島』上では、このころの在台同郷者は5200人余りと推測されている。台湾ではエリート層が構成員で親睦を目的とする同郷会が結成されていたが、生活に密接な互助的活動はさらに小さな同郷者グループが担った。教員による同郷会、同集落出身者の同郷会に加えて、同じ製糖所に勤務する同郷者のみで組織された台湾二結奄美会の存在が確認できた。
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