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2022 年度 実績報告書

戦後日本における植民地忘却の歴史的メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 18K00924
研究機関横浜国立大学

研究代表者

加藤 千香子  横浜国立大学, 教育学部, 教授 (40202014)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード植民地主義 / 男性性 / 主体形成 / 近代化論批判
研究実績の概要

最終年度を含むこれまでの本研究全体を通しての成果は、以下の3点にかかわる。①植民地主義の忘却が戦後日本における「国民」の主体形成のプロセスと表裏の関係にあり、ジェンダーとも不可分であること、②戦後日本における植民地忘却につながる歴史としては、朝鮮戦争を画期とする1950年代の社会変容の問題が重要であること、③忘却される植民地主義の想起と克服に向けての動きが、1970年代の知識人の活動や社会運動の中で提起されるようになったことである。
①に関しては、特に植民地忘却に至る戦後日本の復興過程が、男性性ジェンダーと強い結びつきを持つことに注目し、具体的に当時の男性性言説、とりわけ1950年代に「青年」という言葉が噴出したことに焦点をあてて研究を行ない、その動きと新たなナショナリズムの勃興の関係、女性や外国人の他者化との関連についての検証も行った。この研究の一部は、「国民国家形成と〈青年〉試論」(『国立歴史民俗博物館研究報告』235集、2022年9月)に公表している。
②の1950年代の日本社会の諸問題については、朝鮮戦争を契機とする日本社会の動向に注目して当時のメディア言説を中心に調査を行った。調査を進める中で、朝鮮戦争の開始が、朝鮮半島を外部化し在日朝鮮人を脅威とみなす認識を強めることとなり、日本社会における植民地主義の忘却にかかわる大きな転機となったことについての具体的な知見を得ることになった。
③の1970年代の知識人の活動については、直接的に植民地と向き合うことを目的としたものではないが、鶴見和子が起ち上げた近代化論再検討研究会やその中で提起された「内発的発展論」を検証し、近代化論批判の思潮の中に植民地主義克服につながる可能性を見出した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 国民国家形成と〈青年〉試論2022

    • 著者名/発表者名
      加藤千香子
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告

      巻: 235 ページ: 513-532

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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