研究課題/領域番号 |
18K00926
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
高尾 善希 三重大学, 地域拠点サテライト, 准教授 (20812598)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 伊賀者 / 忍者 / 御家人 / 徳川幕府 |
研究実績の概要 |
基盤研究(C)「徳川幕府御家人伊賀者の制度史的研究―関係史資料収集とその総合的把握―」の内容に従い、徳川幕府伊賀者松下家文書の翻刻校正を行った。去年度において翻刻した文字のテキスト・データ数は、おおよそ30万文字に及ぶが、その中から、内容を精査したうえで、重要な史料を摘出し、史料集として使用に耐えうるテキスト・データに加工する作業を行った。 やがて史料集として刊行する予定があり、書札礼の面としても考察できるようにするため、行や人名の高さなど、整える作業を行った。 幕府の家臣は大名・旗本・御家人であり、そのうち御家人は、もっとも数が多く、幕府という組織を支える重要な人びとであった。それにも関わらず、史料が少ないため、もっとも研究の及ばないところであった。また、忍者学(史実の忍者・架空の忍者の両方を研究する研究フィールド)の研究という観点からも、幕府・岡山藩・鳥取藩・小倉藩・熊本藩等に史料があるものの、史料が豊富にあるわけではなく、貴重な史料を提供することになる。この作業によって、数少ない御家人史料・忍者学関係史料として、多くのひとが使える基盤を形成することになるだろう。 幕府御家人伊賀者に関しては、今後は、幕府初期の伊賀者の設置事情を考察するための史料調査・考察や、地方(ぢかた)取り伊賀者(神君伊賀越えの由緒をもち、地方[ぢかた、領地]を支配している伊賀者たち)の名前が刻まれた石碑に関する調査、東京都新宿区の伊賀者屋敷発掘に関わる調査結果の情報収集などを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
徳川幕府伊賀者松下家文書は、おおよそ30万文字に及ぶが、その中から、内容を精査したうえで、重要な史料を摘出し、史料集として使用に耐えうるテキスト・データに加工する作業を行った。今後、史料集としての公開を考えている。史料集として使用に耐えうるものとするには、近世社会の書札礼の考察に耐えうるテキスト・データにしなければならない。そのための作業として、文字の行数や、文字の誤りの訂正、文字の高さの揃え作業などによって、史料集として使える体裁を整えた。
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今後の研究の推進方策 |
徳川幕府伊賀者の史料は松下家文書のみではない。徳川幕府伊賀者の中で、神君伊賀越えの由緒をもった人びと(地方[ぢかた]取り伊賀者)150人ほどの名前が刻まれた石碑の文字の調査や、近年進んでいる伊賀者屋敷の発掘作業の調査情報(東京都新宿区)の収集などを行う必要がある。また、松下家文書以外の史料も翻刻調査をする必要があるだろう。
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次年度使用額が生じた理由 |
謝金を受け取ることを固辞された方がいたこと等から安く遂行できたため。
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