研究課題
基盤研究(C)
本研究においては、中世の西日本海について、南西諸島から北陸地方にいたる遠隔地間の交流の実像を追究した。その結果、大内一族・尼子一族・山名一族など西日本を代表する諸勢力の政治的動向が、この海域の流通構造の変化と、密接に関連していたことが、明らかになった。さらに、16世紀後半には、石見銀山から産出された銀の輸出をきっかけとして、東アジア海域の変化が西日本海域に大きな影響をおよぼしたことが、明らかになった。
日本中世史
本研究の学術的意義は、列島内部の政治・経済・社会・文化を、周辺海域世界と結びつけて理解し、広域的・多角的観点から日本列島内部の歴史をとらえなおしていくことの重要性について、西日本海海域を素材として、明らかにしようとした点にあると考えられる。本研究の社会的意義は、今日拡大を続けるグローバル社会の淵源をたどることにより、時代の転換を大局的にとらえ、一国史的な理解にとどまらない歴史の見方がなぜ重要であるのかを、議論しようとしている点にあると考えられる。