研究課題/領域番号 |
18K00928
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
今津 勝紀 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20269971)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人口動態 / シミュレーション / 飢饉 / 疫病 / 災害 / 日本古代史 |
研究実績の概要 |
令和元年度は、①時系列分析について、奈良時代初頭から平安時代前期までの変化を確認し、近年の歴史人口学の研究を再検討し、近世初頭までの変化をたどった。また、空間分析についての検討をすすめた。空間分析に必須の全国規模の相対データを確認し、『和名類聚抄』所収の郷が池邊彌の当初想定したように、平安時代の前期がもっとも適合的であるとの見通しをえた。また『拾芥抄』ほかの田数・出挙稲などの分析も同時に継続している。田数と出挙稲数には相関が認められるが、これらのデータをもとに時系列分析が可能かというと、なかなか難しそうである。最終年度は、これらをもとに報告を行う予定。研究は岡山大学文明動態学研究センターより発信し、令和元年(2019)5月27日に日本地球惑星科学連合 2019年度大会 今津勝紀・中塚武「高解像度気候復原による日本古代の気候変動と国家・社会の変容」(於:幕張メッセ)、2019.7.7令和元年(2019)7月7日に第35回歴史学入門講座にて「日本古代史研究の方法的模索―生存の問題を中心に―」(大阪歴史博物館)、令和元年(2019)9月22日(日)に「災害文化と地域社会―日本古代史研究の新地平―」(三宮研修センター)、令和二年(2020)1年1月25日(土)・26日(日)に「環境・災害史のための古代吉備の空間分析」(神戸大学)を報告した。令和2年2月29日に「新たな人文学の方法と歴史学の可能性」を歴博と岡山大学との連携協力協定締結記念集会で報告予定であったが、コロナ騒動のため集会は中止となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の成果は、『戸籍が語る古代の家族』(歴史文化ライブラリー 吉川弘文館、二〇一九年)を出版し、そこで、古代の人口の推移、古代の貧富の格差や奴隷、乞食について論じた。また、昨年度までの成果物、「脚夫・乞食・死穢」(佐々木虔一・森田喜久男・武廣亮平編『日本古代の輸送と道路』八木書店、2019.5)、「日本古代における生存と救済の問題」(『岡山大学文学部紀要』71 2019.12)も順調に刊行されている。唯一、「日本古代の気象と王権―九世紀後半の全般的危機―」(中塚武編『気候変動から読み直す日本史』第三巻、臨川書店、近日刊)の出版が遅れているが、2020年度には「日本古代史研究の方法的模索―生存の問題を中心に―」(『歴史科学』241号)ほかを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様、調査と研究会の開催を予定している。また空間分析の精度を高めるために旧国単位のシェープファイルを整備する。GISにより算出した旧国の面積や列島のDigital Elevation Model(DEM)により作成した旧国単位の可耕地面積などで除すことで、人口密度を算出し、旧国単位の人口密度を基礎に、旧国の中心点を基準とした分布中心点を求めるとともに、標準偏差楕円を計算することで人口分布の指向性を再現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は西日本豪雨での対応のため、調査・出張に支障が生じており、さらに令和元年度は年度末のコロナ騒動のため、調査・出張が延期になったので、それらを補いたいと考えている。
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