研究課題/領域番号 |
18K00930
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
青木 歳幸 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 研究員 (60444866)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 種痘 / 中国 / 四国 / 難波抱節 / 宇田川興斎 / 河田雄禎 / 関寛斎 |
研究実績の概要 |
研究初年度の30年度は、中国・四国の種痘研究調査を重点的に実施した。研究協力者は、ミヒェル・ヴォルフガング・胡光・海原亮・松村紀明・木下宏・田中美穂であり、順次、執筆協力者を増やしていく予定である。第1回研究会を2018年8月4日に中島家医家資料館(瀬戸内市)において開催した。代表者青木歳幸は、九州の種痘から中国・四国の種痘への構想、研究協力者ミヒェルは種痘の前史、木下宏は中島家資料からみる種痘、松村紀明は岡山の地域医療と近代化、胡光は、四国の種痘についての報告をした。8月4日は、岡山の種痘家難波抱節関係史跡を調査後、津山洋学資料館において、仁木家や宇田川興斎の種痘史料等を調査した。代表者は、9月6日に香川での種痘の先駆者河田雄禎調査、9月7日に徳島の種痘医関寛斎の資料調査を徳島県文書館で実施した。随時、国会図書館、東京都中央図書館、武田杏雨書屋等で、全国の種痘史料の調査を実施した。 代表者は関連編著『天然痘との闘いー九州の種痘』(岩田書院、2018.6)において、「人痘法の展開」、「牛痘伝来前史」、「牛痘伝来再考」、「佐賀藩の種痘」、「小倉領の種痘」などを執筆し、「佐賀藩医学教育の歴史」(『医学教育の歴史』、法政大学出版会、2019.3)を執筆・公開した。研究協力者は、ミヒェル「中津藩辛島医家旧蔵の写本「種痘新説」とその背景について」(『史料と人物 VI』・中津市歴史民俗資料館 分館医家史料館叢書 18、2019,3)、松村紀明「「医家」という視点の豊穣性について」(「中島醫家資料研究」第1巻第1号(発行: 中島醫家資料館、2018.5)、木下浩「中島家の医療4部門における患者の分布について」(「中島醫家資料研究」第1巻第2号、2019.3)などを執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者は、中国・四国の種痘資料調査をすすめ、見出した宇田川興斎の津山藩主及び藩士子弟らへの種痘実施史料は新出史料であり、報告書への種痘史料として翻刻掲載の準備を開始した。研究協力者の松村紀明・木下宏各氏は、中島医家資料を中心に着実に研究をすすめている。四国地区調査では井上淳氏に愛媛の種痘を依頼し、準備がすすんだ。中国地区調査では、中沢淳氏に長州の種痘の調査研究を依頼でき、岡山の中島家及び津山洋学資料館を軸として調査研究もすすんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
四国地区の種痘調査は、高知や香川の調査を行い、中国地区では浜田市にある善那先生頌徳碑(明治33年建立)豊原勘一郎、山陰牛痘の最初の米原恭庵、松江での種痘医錦織春象、鳥取の種痘医原田帯霞・謙堂兄弟の事績調査と史料発掘を進める。 さらに今年度は、関西地区で研究会を開催し、関西での種痘調査と史料発掘をすすめる。大阪での緒方洪庵の除痘館事業のほか、緒方家以外の種痘医発掘、京都では有信堂の種痘活動を軸にその近代への影響も調査する。
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