研究課題/領域番号 |
18K00930
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
青木 歳幸 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 特命教授 (60444866)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 天然痘 / 感染症 / 種痘 / ワクチン / 伊東玄朴 / 桑田立斎 / 種痘所 / 徳川斉昭 |
研究実績の概要 |
22年度には、研究成果公開のため『天然痘との闘いー東日本の種痘』(岩田書院、2023年)を編集し、刊行した。この書は論考19本と史料紹介2本、コラム4本を集積して、東日本の種痘に関する地域特性を明らかにした。 研究代表者は、本書において「東日本の種痘」「会津藩医佐藤元萇の種痘」「水戸藩領の種痘」「上州の種痘」の4本の論考と「明治八年の秋田県の種痘試験問題対策」「二つの疱瘡神詫び証文とその周辺」の2本の史料紹介を行った。 東日本の種痘の特徴は、江戸医学の種痘免状などの影響が大きかったことが見えてきた。かって領民の衛生・医療には対策をとらなかった諸藩においても、種痘普及の事業を通じて、公衆衛生の必要性が強く意識されるようになったこと、関東のように幕領や相給地、諸藩領が入り組んでいる地域では、藩領域をこえた蘭方医らの種痘活動が行われていたこと、天然痘予防の種痘普及が庶民の医療観、意識の変化にもつながり、種痘普及は、たんなる種痘技術の伝播にとどまらず、行政による公衆衛生意識の広がりと、医療技術の発達と西洋医学の受容という医療の近代化につながる活動であったことなどが改めて確認された。 本書刊行によって『天然痘との闘いー九州の種痘』(2018年)、『天然痘との闘いー西日本の種痘』(2021年)、『天然痘との闘いー中部日本の種痘』(2022年)につづく全国的な天然痘との闘いと種痘普及の実態、庶民の意識変化、近代的病院の設立などの地域的特性が明らかにすることができ、各地域に関する種痘史料集も刊行でき、当初計画は9割方実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
22年度の『天然痘との闘いー東日本の種痘』の刊行により、2020年度『天然痘との闘いー西日本の種痘』(論考13本、史料編4本、コラム4本)及び『史料・西日本の種痘』(史料4本)、2021年度『天然痘との闘いー中部日本の種痘』(論考11本、史料編5本、コラム4本)及び『史料・中部日本の種痘』という、研究3年目から年2冊の本及び史料集の刊行が、6冊刊行予定が5冊刊行でき、おおむね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
22年度の研究計画のうち、COVID-19の感染拡大により、最終年度である22年度に『史料・東日本の種痘』のみ刊行できなかったので、研究を1年延長し、23年度に主要種痘史料の翻刻集『史料・東日本の種痘』を刊行し、当初計画を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大のため、一部史料調査先での調査が未完了となり、史料集の刊行を2023年度に回さざるをえなかった。
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