研究課題/領域番号 |
18K00931
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
乕尾 達哉 鹿児島大学, 法文学部, 客員教授 (30164065)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サトウ / アストン / チェンバレン / アンダーソン / 和書 / 大英博物館 / ケンブリッジ大学図書館 / 日本学 |
研究実績の概要 |
2020年度に続き、2021年度も新型コロナウイルスの影響により、予定していた国内諸機関および英国諸機関でのサトウ旧蔵和書、アストン旧蔵和書の実地調査をすべてキャンセルせざるをえず、研究は甚大な制約を蒙った。そこで、2021年度も主に過年度の調査結果、収集資料の整理を行った。2018年度および2019年度に実施した英国の大英図書館所蔵のサトウ旧蔵和書80点ほどについて、書き入れ、蔵書印、大英博物館の受入れ印を撮影写真にもとづき、再調査した。蔵書印については、同じ「英国薩道蔵書印」の印文を有する蔵書印が2種類あること、またひらがなの印文「さとう」の蔵書印も存在したことを再確認した。受入れ印については、主に①「1884年9月22日」、②「1885年6月13日」、③「1894年2月13日」、④「1894年3月21日」、⑤「1906年4月7日」の5種類の日付を確認した。③④はアンダーソンが日本美術関係の和書等を当時の大英博物館に寄贈した日付であることから、これらの受入れ印記を有するサトウ旧蔵書はサトウからアンダーソンに譲渡された和書であり、それらをアンダーソンが他の美術関係和書等とともに寄贈したものである。⑤はパットン牧師が大英博物館に寄贈したもので、佐藤は仏教関係の書物をパットンに譲渡していた事実を確認した。残る①②はサトウ自身によって寄贈された日付と推測した。2018年度の日本大学文理学部図書館所蔵のチェンバレン旧蔵和書の調査については、チェンバレン旧蔵和書のうち、もとサトウ旧蔵の和書約100点につき、書き入れ、蔵書印を再調査し、蔵書印は、上記の2種類の蔵書印を再確認、チェンバレンの蔵書印との前後関係から、そのほとんどがサトウからチェンバレンに譲渡された和書であることを再確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度に本格化した新型コロナウイルスの世界的大流行が2021年度においても沈静化せず、予定していた英国の諸機関における和書の実地調査のすべて、および国内の実地調査もその大半をキャンセルせざるをえなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況の沈静化を待って、大英図書館でのサトウ旧蔵和書の実地調査を引き続き行う。その後、英国ではケンブリッジ大学図書館でのアストンおよびサトウ旧蔵和書の調査、国内では愛知教育大学附属図書館でのチェンバレン旧蔵和書の調査も実施して、サトウを中心とする和書の蒐集・活用・譲渡の様相を明らかにする。また、サトウの蔵書印と旧蔵和書の蒐集時期について、見通しを得たい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、国内・英国のでの実地調査がほとんど不可能となり、2021年度に支出を予定していた旅費をほとんど使用できなかった。この未使用分については、2022年度に繰り越し、感染状況の沈静化を待って、2022年度分として請求した助成金と合わせて効率的に使用したい。
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