研究課題/領域番号 |
18K00932
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
大浜 郁子 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (60459964)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 田代安定 / 「旧慣」調査 / 近代日本の統治政策 / 近代沖縄 / 近代台湾 |
研究実績の概要 |
初年度にあたる2018年度は、台湾大学図書館特蔵室所蔵「田代文庫」所収の「沖縄関係資料」の筆写による収集と翻刻を優先的に行った。特に、「手稿類」のうち、比較的保存状態の良好な史料を優先的に筆写して翻刻した。また、国内外に分散所蔵される田代関係資料の調査および収集も積極的に行った。当初計画時には想定していなかったが、新たな田代の関係資料が、特に国内の複数の資料所蔵館に収蔵されていることがわかったため、次年度以降に予定していた現地調査を、急きょ、早めに実施した。新たに得られた田代関係資料は、目録に追加して、電子データと関連づける作業を行った。 今年度の研究内容のうち、田代の沖縄・八重山諸島と台湾・「原住民」に関する「旧慣」調査に基づく比較研究の成果の一部は、国際シンポジウム「日治時期臺灣的教育與東亞認識」(台湾・南華大学人文学院主催)において、研究報告を行い、報告内容は、同国際シンポジウム論文集に掲載された。 本研究の基盤にも関わる研究として、全国学会創立30周年を記念して刊行された、日本植民地研究会編『日本植民地研究の論点』(岩波書店)に、「内国植民地」の項目を執筆したことは特記しておきたい。 今年度の研究成果の一部は、次年度に、学界への貢献として、国内の全国学会大会にて研究代表者が企画した分科会が採択され、研究報告を行うことが決定しており、地域社会への還元の一環として、台湾で開催される国際フォーラムや国際セミナーにて報告することも確定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、(1)台湾大学図書館特蔵室所蔵「田代文庫」所収の「沖縄関係資料」を全文翻刻し、特に、八重山諸島開拓「植民」関する田代の建議が日本の沖縄統治政策とその後の台湾統治の形成過程において果たした役割を解明すること、(2)国内外に現存する田代関係資料を収集し、田代が八重山で行った「旧慣」調査と彼の「植民」論とが日本の台湾統治に連関性を有していたことを解明すること、(3)国内外に分散所蔵されている田代の関係資料を全て網羅した総合目録を作成してデータベースを構築し、電子データ化することである。 この三つの目的のうち、(1)は草書体で書かれた史料の翻刻作業は、特に、メモ帳の翻刻に予想以上に時間を要しており、(2)は当初計画より進展があり、次年度以降に予定していた現地調査の一部を本年度中に実施して、新史料の発掘や確認を行い、さらに、国際シンポジウムにて成果の一部を研究報告し、(3)は全体の三分の一程度進んでいる。次年度には、本研究の成果の一部は、学界への貢献として国内の全国学会大会にて研究代表者が企画した分科会が採択されており、研究報告を行うことが決定しており、地域社会への還元の一環として、台湾で国際フォーラムや国際セミナーにて報告することも確定している。以上のように、本研究は、全体的に順調なスタートができている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も、台湾大学図書館特蔵室所蔵「田代文庫」所収の「沖縄関係資料」の調査・収集と翻刻作業を継続しつつ、国内外での新たな調査によって得られた資料を目録に追加して電子データと関連づけ、最終年度のまとめの作業の準備に万全を期する。また、次年度は、本研究の中間報告として、国内の全国学会大会で研究報告を行うことにより、本研究の方向性などに関する批評や助言を聴取して、以降の順調な研究の遂行をはかる。さらに、本研究で現在までに得られた成果は、地域社会へ還元する一環として、台湾における国際フォーラムや国際セミナーにおいて報告をすることが確定している。
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