研究課題
最終年度である2020年度は、COVID-19の蔓延により、国内外における補完調査を行うことができなかった。しかし、これまで研究代表者は、本研究に関わる主要な史料所蔵館に対して、口頭および要望書を提出するなどして、デジタル資料の公開やカラーデジタル化の促進を粘り強く働きかけてきた。その結果、「田代文庫」(台湾大学図書館特蔵室蔵)所収の「沖縄関係資料」については、2018年に新館長に直接面談して、「沖縄関係資料」の全面公開の促進を要望したところ、現在、順次デジタル資料が公開されている。また、同年に田代研究に関連して、笹森儀助史料の所蔵館である青森県立図書館長宛てに笹森史料のカラーデジタル化に関する要望書を提出したところ、2020年4月よりカラーデジタル化された笹森の全史料が公開されている。これらのデジタル資料をも活用することによって、本研究は、COVID-19の影響を可能な限り回避しつつ、関係史料の収集を進めることができた。田代安定関係資料の総合目録については、新たに得られた史資料を目録に追加して、翻刻した電子データと関連づける作業を行い、これらを分析する作業を重点的に行って、将来的な総合目録の完成に備えた。本研究の研究成果は、まず、国内外に分散所蔵される田代関係資料の調査(デジタル資料を含む)によって複数の新史料を見出したことである。次に、「田代文庫」所収の「沖縄関係資料」のうち、「旧慣」調査資料の翻刻を進展させたことである。そして、田代の沖縄・八重山と台湾・「原住民」に関する「旧慣」調査を比較して研究論文にまとめ、台湾での国際シンポジウム「第十一屆臺灣總督府档案學術研討會」にて研究報告(COVID-19による渡航禁止のため代読報告)を行った。同報告の内容は、論文集への掲載が確定している(査読有)。今後も「沖縄関係資料」の翻刻と考察を継続して、更なる研究の進展に努めたい。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
『「南國與萬國的交會』國際學術研討會論文集』
巻: 全 ページ: 55-82