研究課題/領域番号 |
18K00934
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
|
研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
森田 喜久男 淑徳大学, 人文学部, 教授 (10742132)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ヤマタノヲロチ / スサノヲ / 出雲 / 吉備 / ヤマト王権 / 神楽 / 鉄生産 |
研究成果の概要 |
日本神話の中でも著名なヤマタノヲロチ退治神話成立の歴史的背景として、6世紀から7世紀にかけて、ヤマト王権が、白村江の戦いに備え、出雲と吉備を一体的に掌握し、軍事動員をかけた史実と関係していることを明らかにした。次に、王権神話であるヲロチ退治神話が近世以降、地域社会に広がった前提として、『古事記』・『日本書紀』の神話を再編した『先代旧事本紀』の影響を確認できた。 また、ヲロチを退治したスサノヲは、中世には悪神であると同時に英雄であるという二面性を持っていることが明らかにされた。さらに、ヲロチ退治神話が鉄の生産に関与した人々と関わっているという考え方は、近代以降に成立したことも明らかになった。
|
自由記述の分野 |
日本古代史・神話学
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヤマタノヲロチ退治神話の分析を通して、出雲系神話は出雲を含めた山陰地方だけではなく、吉備や安芸など山陽道諸国や朝鮮半島とも深い関わりを持ち、空間的な広がりを持つことを明らかにできた。また、時代の変化に対応して、さまざまな解釈が加えられ、変容した神話がどのような形で地域社会へ浸透していくのか、この点についても明らかにできた。 さらに、今日、地域社会でイメージされているヤマタノヲロチの姿は、近代以降に形成されたことなども明らかになった。本研究は、中国山地という具体的なフィールドから出発している。神話研究における現地調査の有効性を提示できた点で、従来の神話研究に一石を投じたものであると確信できる。
|