本研究の当初目的は達成できなかったが、不十分ながらもNARAでの調査活動で入手した資料の分析によって、東京裁判と横浜法廷の刑死者に関する新たな事実関係を把握することができた。①1つは東京裁判における刑死者に関するもので、これまで刑死者の火葬後の遺灰は太平洋に撒かれたことは知られていたが、今回、その事実を示す米8軍が作成した文書の存在を確認し、米軍の戦犯政策の一端を窺い知ることを可能とした。②もう1つは横浜法廷の被告人とその関係者がGHQや第8軍に提出した陳述書や嘆願書の存在を確認したことである。現在そのコピーをご遺族に渡し、これまでに知られていない横浜法廷に関する証言も得ることができた。
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