研究課題/領域番号 |
18K00940
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
野口 真広 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (30386560)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 台湾 / 植民地 / 帝国 / 日英比較 / インド / 植民政策 / 民族運動 / 立憲主義 |
研究実績の概要 |
本年度は、JSPS海外特別研究員RRAとして台湾の中央研究院台湾史研究所に滞在中であることを活かし、台湾内での研究活動を進めつつ、その成果を国内外の研究者との協同研究に繋げるために準備を進めた。具体的には、2020年の2月に国際ワークショップ(名称「アジアサーキット」の第3回目)を開催することを企画した。招聘する共同研究者は、早稲田大学地域・地域間研究機構、韓国の高麗大学Global日本研究院、台湾の中央研究院台湾研究所、台湾の政治大学台湾史研究所を予定していた。同ワークショップは、2018年度に第1回目を台湾大学日本研究センターで、第2回目を高麗大学で開催している。第3回目は早稲田大学で開催予定だったが、コロナウイルスのために延期となり、成果発信を十分に行うことができなかった。 研究課題の主要な研究対象である台湾人民族運動家の楊肇嘉に関する蔵書調査および関係者への聞き取り調査は継続して順調に進めることができた。楊肇嘉の約2000冊に及ぶ蔵書の目録作成はほぼ完成し、それらの最終確認について遺族と協議をする予定だったが、コロナウイルスのために協議は中断している。 2019年11月には、日本の台湾植民地支配と英国のインド支配との比較のため、コルカタにあるプレジデンシー大学を訪問し、共同研究者のマフチャンダ・コーッシュ准教授を介してインド史の研究者との交流を進めることができた。コルカタの公文書館でも予備的な調査を行い、植民地支配に関する公文書や書籍の調査を実施した。本格的な調査のために、再度の訪問の際にニューデリーを含む他地域への調査を進める予定だったが、延期中である。 当面の間、現地調査は難しいため、台湾およびインドに関する植民地支配の先行研究の調査の継続と、現地協力者である各地の研究者とのオンラインでの意見交換を進め、実地調査が再開できる時期に備えている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外での史料調査、研究者とのネットワーク構築は順調に進んでいたものの、その成果を海外シンポジウム等で公表しようとしたところ、年度末のコロナウイルスのために予定していた各種の研究会が中止となった。またインドや英国での公文書調査、現地研究者との意見交換を予定していたが、それらも延期となった。幸い、インドに関しては予備的な調査を実施したが、わずか3日程度の滞在であり、公文書館もコルカタのみの調査にとどまった。インドにおいては、コルカタおよびニューデリーでの公文書調査にも時間を要するため中期滞在する必要があり、そのような本格的な調査は次年度に延期せざるをえなくなった。 台湾において楊肇嘉の蔵書の目録作成と内容分析の公開についても、最終確認をする時期がコロナウイルスの流行と重なり、台湾での研究活動が中断せざるをえなくなった。 次年度中に目録作成の完成と、それを公開成果物とすることについて遺族との協議を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
海外での史料調査や現地研究者との意見交換、共同研究が必須であるため、コロナウイルスの流行が収まり、海外出張を自由に行えることが研究推進にとっては重要な条件となる。海外調査が十分に実施できない場合には、すでに構築した現地研究者との交流を活かして、資料調査の代行を依頼することや、オンラインでの専門的知見のヒアリングなどを活用する必要がある。この場合の人件費や謝金を想定していなかったため、海外出張に想定していた経費を振り分けるなどの工夫も必要となる。 ただし、本研究ではこれまでの先行研究では活用されていない資料群を調査するため、研究代表者自身の目で内容を確認しつつ、選別し収集する必要があるため、資料調査の代行はかなり難しいと思われる。重要な史資料の収集については、やはりコロナウイルスの流行の鎮静化を待って、代表者自身が短期間であっても現地調査をすることが最も研究推進には有効であると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
英国への資料調査出張が中止となったため。
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