研究課題/領域番号 |
18K00943
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
山形 隆司 帝塚山大学, 文学部, 非常勤講師 (00342999)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 富士信仰 / 不二道 / 不二孝 / 富士講 / 信者組織 / 民衆宗教 / 小谷三志 / 岡山友清 |
研究実績の概要 |
本研究は、富士信仰に基づいて小谷三志により組織された信者組織である「不二道(不二孝)」が、近畿・東海地方において、江戸時代後期から明治時代初期にかけてどのように拡大し、信者同士のネットワークがいかなるものであったのかを検討しようとするものである。江戸時代初期より、当該地方にはすでに修験道系の富士信仰が根付いていた。そのような中、宗教的儀礼よりも日々の実践道徳の積み重ねや日常生活への応用に重きをおく不二道がいかにして普及していったのかを検討することは、19世紀の社会と宗教を考える上で重要な手掛かりになると考えるからである。 当該年度は、伊勢国多気郡朝柄村(現 三重県多気町)の不二道信者で篤農家としても知られる岡山友清(1789-1878)の関係史料を閲覧し、必要に応じて写真撮影を行った。この結果、作業途中ではあるが、岡山友清が伊勢国において不二道の普及に大きな役割を果たしていたこと、大坂の平野屋重蔵・大和の山根平蔵・三河の菓子屋藤助などの遠隔地の信者とも頻繁に文通を行い、幅広い人的ネットワークを築いていたことが確認できた。特に、平野屋重蔵とは師弟関係にあり、教義上の問答を頻繁に書面で行っていることが分かった。また、不二道関係史料が多数翻刻されている『鳩ケ谷市の古文書』2~27(鳩ケ谷市教育委員会、1976~2003年)により、近畿・東海地方における不二道信者の名前等をリストアップした。これは、今後、史料解読の上で、参考にする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
岡山友清関係文書の調査については中途であるが、本史料は質・量ともに充実していることが確認できており、関連史料を参照することにより、研究が実りあるものとなることが期待できるため。
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今後の研究の推進方策 |
岡山友清関係文書の調査を進めるとともに、同文書中に頻繁に記載がある不二道信者についても調査を行う予定である。これにより、不二道組織の人的ネットワークのあり方をより明確にできるものと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
史料調査を実施するに際して、別の用務と合わせて目的地に赴いた為、当該研究費より旅費を支出しなかった。次年度については、遠隔地での調査を予定しており、繰越した費用は、該当の出張費として充当する。
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