研究課題/領域番号 |
18K00945
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
高島 千代 関西学院大学, 法学部, 教授 (90283382)
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研究分担者 |
田崎 公司 大阪商業大学, 経済学部, 准教授 (00309189)
安在 邦夫 早稲田大学, 文学学術院, 名誉教授 (30120900)
金井 隆典 大和大学, 政治経済学部, 講師 (60298205)
中元 崇智 中京大学, 文学部, 准教授 (90609174)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自由民権運動 / 激化事件 / 裁判制度 / 近代国家 / 史料翻刻 |
研究実績の概要 |
1.自由民権運動の「激化事件」裁判に関わる訊問調書・裁判言渡書など裁判史料(地方検察庁・裁判所所蔵、地域・国立の公文書館や法務図書館所蔵、個人所蔵などの場合がある)、裁判に関わる新聞報道史料について、現時点での残存状況・翻刻状況を調査し、各史料の内容や相互の関係を明らかにする課題について。裁判史料については、さいたま地検と新潟地検高田支部所蔵の関係裁判史料を閲覧・撮影した。また喜多方市立図書館、群馬県立文書館・埼玉県立文書館所蔵分についても調査・撮影を行った。 新聞報道史料については、飯田事件と、名古屋事件・岐阜加茂事件の新聞資料の調査・複写に着手し、前者については事件後の明治17年12月から18年7月まで複写が終了。後者については事件自体の実像が明確でない部分も多いため、事件前の明治14年10月から調査し、現在明治16年1月まで複写が終了している。 2.法務図書館所蔵の激化事件裁判史料の翻刻作業については、共通の翻刻ルールを定めたうえで、現在、「高等法院伺書 秋田縣立志會員暴動事件(自明治十四年至同十七年) 冩」1冊、「長野縣國事犯村松愛蔵等ニ關スル一件書類 寫」1冊の途中まで、「若松一件書類 河野廣中一件 明治十五年 寫」1冊についてはすべて翻刻をすませた。 3.各分担者が、以上の作業について報告するために、激化事件研究会を東京・法政大学で三回開催した(2018年4月28日、8月13日、2019年3月9日)。特に地検の所蔵史料については、閲覧が制度化されていないため、閲覧・撮影申請書をどのような形にするのかなど、情報共有を行った。 4.各研究分担者の作業担当は、基本的に当初の予定通りに進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1.地検での閲覧申請が、想定したよりも時間がかかった(記録担当との交渉、検察官による決定、申請書の確定など)。また研究代表者を含め、研究分担者が、当初考えていたよりも、本研究に時間を割くことができなかった(例えば研究代表者は、本研究以前から着手していた、淡路島の民権家の史料翻刻・出版事業の校正作業のほうに、当初想定した以上に手を取られた。)。さらに一部の研究分担者と激化事件研究会の日程があわなかったこともあり、作業の中身について、正確に伝わっていなかった。 2.翻刻作業を担当する研究協力者を十分確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.一年目に地検に対する閲覧申請に着手し、申請方法がわかってきたので、各研究分担者は、調査のすんでいない秋田・福島・長野・茨木・名古屋・大阪などの地検・裁判所への調査申請手続きに早めに着手する。 新聞報道史料の調査については、2018年度に着手した作業を2019年度前半で終了し、秋田事件・福島喜多方事件・静岡事件・加波山事件・大阪事件についても、早急に着手する。 基本的に、当初の役割分担にしたがって作業を進めるが、各研究分担者が自分でできない作業については、研究協力者に依頼する方向で対応する。 2.翻刻作業を実施する研究協力者の増加をはかり、特に未着手の「若松一件書類(河野廣中一件附属書類) 寫」と、「愛知縣大島渚等強盗事件書類 明治十八年(檢務局) 寫」について翻刻を急ぐ。また、できたところから研究分担者がそれぞれ監修を行い、その過程で、翻刻ルールの確認と、必要であれば修正を行う。 3.激化事件研究会については前年度並みに開催するが、翻刻作業については、研究代表者・分担者が定期的にチェックする。なお、研究代表者については、昨年度関わっていた仕事が12月に刊行され(大阪民衆史研究会『「立憲政体改革の急務」島田邦二郎史料集成』)一段落したので、こちらの研究作業に、より多くの時間をさくことが可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた最大の理由は、翻刻作業に対する報酬料を作業全体が終了した時点で支払うことにしたためである。当初、翻刻作業に対しては、概略的な字数計算に基づき、簿冊1冊が終了した時点で翻刻料を支払う予定だったが、作業を行っている研究協力者の間で、作業全体が終了した時点で、実際の翻刻字数に即して翻刻料を支払ったほうがよいという意見が強かったため、そのような形で支払うことにした。 また一部の研究分担者については、別の仕事との関係で、次年度以降に集中してこちらの作業を行うために、残額を繰り越した。 したがって次年度使用額については基本的に、2018年度に着手する予定で実際にはできなかった新聞報道史料の調査(福島喜多方事件・加波山事件)、福島・茨木の地方検察庁・裁判所所蔵史料の調査に必要な旅費に使用し、また次年度に翻刻作業が終了すれば、翻刻料の支払いに充てる。
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