本研究の目的は、大阪教職員組合・奈良県教職員組合・京都教職員組合の所蔵史料や部落問題研究所が所蔵する同和教育実践に関する史料を調査し、大阪・奈良・京都における教職員組合運動や教育実践の展開について、地域における戦後民主主義の成長という観点から実証的に分析することにあり、大阪・奈良・京都の比較を通じて、それぞれの地域における社会構造の特徴や都市部における教組運動の特徴を照射することを意図した。 本研究を推進するため、関西教育労働運動史研究会を組織し、そのもとに大教組班(班長:森下徹)・奈教組班(班長:研究協力者竹末勤)・京教組班(班長:研究協力者富山仁貴)の3つの調査班を設け、以下の通り、関連史料の所在確認・概要把握と基礎的な史料整理作業に取り組んだ。 大教組班:野名竜二氏(元泉北教組・堺教組・大教組)、辻田政信氏(元泉北教組)、藤並行三氏(元泉北教組)などの所在確認と史料収集、聞き取り調査。奈教組班;奈教組文書をはじめ、安川重行文書や吉野郡教組文書、磯城郡教組文書、鈴木良文書など関連史料の収集と史料整理、聞き取り調査。京教組班:奥丹後教組文書の調査。3班合同:部落問題研究所所蔵史料の調査(担当:研究協力者西尾泰広)。吉野郡教組・十津川村教組の史料調査。立教大学共生社会研究センターの史料調査。 コロナ禍に見舞われ、当初の研究計画の変更を余儀なくされ、大阪・京都・奈良の比較研究まで踏み込むことはかなわなかったが、奈教組班は、奈教組文書の目録化をほぼ完了することができた。その成果を『奈良県教職員組合文書目録』として刊行し、史料の公開・活用の基礎的な条件を整備することができた。
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