本研究の第1の意義は、奈教組文書の整理と目録化を行い、歴史研究の史料として活用する基礎的な条件を整備することができた点である。これにより、大教組や京教組などとの比較研究も可能となろう。 第2は、奈教組文書の歴史的位置を明らかすることができた点である。奈教組文書には、戦前の奈良県教育会や奈教組の大会、中央委員会、各郡市教組の史料だけでなく、奈良総評、平和運動、母親運動など多様な社会運動に関する史料が含まれている。戦前の教育会を引き継ぎスタートした奈教組が地域の労働運動、社会運動で大きな役割を果たすようになったのであり、奈教組文書は、戦後奈良県の社会運動の史料センターともいうべき存在である。
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