研究開始の段階では、古代国家の駅家が設置された地域における考古学・歴史地理学的な実態調査をふまえ、中世社会への転換以後における当該地域の変容を検討することによって、変容の社会的意味を追究することをめざしたが、2018年西日本豪雨による移動手段の壊滅的事態の出現、さらには2020年以後におけるコロナ感染症対策にともなう移動の制限などの事態をうけて、研究の対象地域も大幅に限定せざるをえなくなるとともに、他地域との対比的な考察も限定的なものとせざるをえないものとなった。こうした視点や方法論の変更を余儀なくされたことよって、地域交通の要的な「古道」の具体的な様相を歴史地理学的視点から追究した。
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