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2021 年度 実施状況報告書

在外日本前近代史研究の軌跡

研究課題

研究課題/領域番号 18K00966
研究機関九州大学

研究代表者

坂上 康俊  九州大学, 人文科学研究院, 特任研究員 (30162275)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード日本史 / 前近代 / 海外 / 系譜
研究実績の概要

本年度は次の二つの方面で大きな進展を得た。
第一点としては、 Paula R. CurtisがAssociation for Asian StudiesのブログにSurveying Premodern Historians of Japan: Past, Present, and Future Directions of the Fieldを掲示したことで、特にNetwork Visualization of Mentors and Mentees, 1946-2026には、1600年以前の日本歴史を研究している英語圏の研究者の学術的影響関係が示されている。科研研究の目指していた「系譜的研究」のうち、英語圏、特にアメリカでの研究については、この図の裏付けをとる必要があり、また、朝河貫一が位置づけられていないなど問題が無いとはいえない。
第二点としては、日本史学界において、海外での日本史研究の成果を取り込み、あるいはその現状と課題とを了解し合おうとする機運が盛り上がったことである。代表的な取り組みとして『日本史研究』705号での「外国史としての日本史研究」特集があり、また、年度末の3月には黄霄龍氏がコーディネイターとなった国際シンポジウム「海外の日本中世史研究:「日本史」・自国史・外国史の交差」が開催され、諸国での研究動向・研究環境などについての報告があった。こうした海外での日本史研究の動向の紹介は、国際日本文化研究センター『世界の日本研究』での積み重ねや、遡れば『日本史研究』590(2011年)、ジョウン・R・ピジョー「アメリカにおける日本古代史研究」(『史学雑誌』98-6、1989年)など相当の蓄積がある。本科研の当初の取り組みの計画には、学界のトレンドの追求を組み込んでいなかったため、今年度あらためてその必要性を痛感し、次年度の研究計画の中に組み込んでいく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス蔓延のため、海外での研究拠点訪問、聞き取りができず、蔵書など研究環境の調査ができていない。

今後の研究の推進方策

手許で手に入る資料と、既存のネットワークの拡張を通じて、当初の目標達成に少しでも近づけたい。具体的には、21年度の研究実績のところに記したような、海外における日本前近代史の研究動向紹介をできる限り精査して、それぞれの地域での研究環境・伝統の把握に努めた上で、本来の研究手法である研究者の個人的履歴研究と相互対照し、より正確な学統の把握に努めたい。その際、英語圏については、Curtis氏の研究成果を批判的に摂取し、肉付けすることが重要になるが、中国・韓国等での研究は、これまでの感触としてはあまり明確な系統図はできないのではないかという予感を持つ。欧米圏と東アジア圏では日本史研究へのアプローチの姿勢が異なっているのではないかということを、ビジュアルに示すことができれば、本研究の目的の一つは達成されたと考えるので、そのためのデータ整理に努めたい。幸い、中間報告を公表する機会を与えられてもいるので、秋までにはおおよその概要をまとめ、年度末までにはデータを含めた研究成果を公表する予定である。その間、可能であれば、中国・韓国、あるいはドイツ・フランス・アメリカ在住の日本前近代史研究者へのインタヴュー(オンラインを含む)を実現していきたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの世界的蔓延のため、当初計画していた海外研究機関での調査が実現できなかったため、旅費が残ってしまったのが主因である。2022年度は、成果発表のためのHP立ち上げのための費用(ソフト購入)のほか、ぎりぎりまで中国・韓国への調査の可能性を探りたい。ただし、研究を充実させるために必要な研究書の購入費としても考えておきたい。

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公開日: 2022-12-28  

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