研究課題/領域番号 |
18K00969
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研究機関 | 長野大学 |
研究代表者 |
相川 陽一 長野大学, 環境ツーリズム学部, 准教授 (90712133)
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研究分担者 |
新井 勝紘 専修大学, その他部局等, 参与 (40222707)
原山 浩介 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50413894)
白井 哲哉 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70568211)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 現代史 / 20世紀 / 社会運動 / 史資料 / アーカイブズ / オーラルヒストリー / 学際研究 / 成田空港 |
研究実績の概要 |
2020年度の本研究は、前年度に続いて、1)共同研究の進捗確認や意思決定を行う全体会、2)研究活動の基礎データとなる資料目録の作成や資料撮影等を実施する資料整理調査会、3)研究成果をプロジェクト内で共有する研究報告会を開催する態勢で開始した。 1)全体会は、オンライン方式で6月、8月、9月、3月に計4回開催し、進捗確認と方針決定等を行った。2020年度は新型コロナウイルス感染症の流行に伴う資料保存機関等の長期にわたる臨時休館や入館制限をふまえた対応が必要となり、対面での開催を必要とする2)資料整理調査会の開催を休止せざるを得ない時期が長く続いたが、同感染症の状況を慎重に見定めながら、3月に開催することができた。資料整理調査会では、成田空港空と大地の歴史館が収蔵する小川プロダクション資料等の整理を進めるとともに、重要資料の記録保存を進展させた。 2020年度は、主として前年度までに開催した資料整理調査会で得た資料や知見に基づいた3)研究報告会に特に注力し、オンライン方式での研究報告会を6月、8月、9月、2月、3月に計5回、開催して、研究組織員による個別報告を行うとともに、共同で実施してきた目録作成をはじめとする資料整理調査会の成果共有等をおこなった。これらの成果に基づいて、日本映像学会第46回大会シンポジウム「映像アーカイブの実践と未来」(2020年9月オンライン開催)にて招待報告を行い、3月に学術論文を発表した。そのうえで、2021年2月と同3月の研究報告会は、研究報告書の刊行に向けた個別研究報告を連続で行って研究報告書のアウトラインを定めることができ、2021年度も同様の頻度で研究報告会を定例開催し、成果報告会と研究報告書の刊行を実現していく態勢を整えてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度までに実施した資料整理調査会の成果をもとに、文書資料研究と音声・映像資料研究の双方の領域で、重点的に調査する資料群を選定し、多岐にわたる資料形態を有する小川プロダクション資料を主要な研究対象として、目録データの作成を順調に進めることができ、件名目録を作成した。そして、目録データと閲覧した資料データ等を活用した研究会をオンライン会議の方式で継続的に開催して、資料の構造把握を進めた。関連して、長野県松本市で行われた小川プロダクション作品の自主上映運動に関する資料の構造把握も進展させ、関係者へのインタビュー調査も実施できた。 研究が進展するなかで、国内外の現代史研究者と映像研究者との連携の機会が生まれ、日本映像学会第46回大会シンポジウム(2020年9月オンライン開催)にて招待報告を行った。この報告では、長野県松本市における自主上映運動資料の保全から研究活用に至るプロセス等を報告し、本報告をもとに2020年度末に成果論文を発表した。 以上のように、本研究では、新型コロナウイルス感染症の流行に伴って、2020年度に予定していた資料整理調査会を休止せざるを得ない時期が続き、このことによって研究機関の延長を申請したが、2019年度までに資料整理調査会等で得た知見を活かして、研究報告会を定例開催し、研究成果の発信を行うことができており、研究期間の延長後の最終成果報告に展開していくことが十分に可能である。このような理由から、本研究は、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、新型コロナウイルス感染症の流行の影響によって、2020年度内に定例開催することを予定していた資料整理調査会の多くを休止せざるを得なかった。このことをふまえて、研究期間を2021年度へ延長した。最終年度となる2021年度には資料整理調査会を継続開催しつつ、研究メンバーによる研究報告会を月1回ほどの頻度で行って、本研究の集大成を図り、2021年度末に研究成果報告会を開催する。そして、最終年度末には、本研究で進めてきた資料目録を精査して完成させるとともに、資料整理調査会と研究報告会の成果に基づいた研究論文集を刊行する。年度末の成果報告会は、研究成果の学会や地域社会への還元を目的として、関係学会等と連携して開催を検討していく。2021年4月現在、新型コロナウイルス感染症が依然として国内外で流行していることから、研究メンバーや資料収蔵機関の安全確保を念頭に置いて、対面方式での成果報告会の開催時期や開催形態等は慎重に検討していく。
【研究組織(2021年3月時点)】 研究代表者:相川陽一(長野大学)/分担研究者:新井勝紘(専修大学)、白井哲哉(筑波大学)、原山浩介(国立歴史民俗博物館)/研究協力者:今井勇(アジア歴史資料センター)、森脇孝広(都留文科大学)、秋山道宏(沖縄国際大学)、金子美佐子(千葉大学大学院博士後期課程)/アドバイザー:波多野ゆき枝(成田空港 空と大地の歴史館)/資料整理補助スタッフ:秋葉真紀生(学習院大学大学院博士前期課程)
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次年度使用額が生じた理由 |
成田空港空と大地の歴史館をはじめとする資料保存機関を対象に、資料整理調査会を定例開催する計画でいたが、新型コロナウイルス感染症の流行やこれに伴う緊急事態宣言の発出によって、資料保存機関が長期にわたり休館を余儀なくされるなどして、資料整理調査会の開催が困難化したことにより、研究期間を1年延長することを決断した。連動して、資料整理調査会の開催成果をもとに刊行を予定していた研究報告書の刊行等も、2021年度に変更することとした。これらに使用する費用を2021年度に繰り越しを行い、主として資料整理調査会の定例開催と研究報告書の刊行費用に使用していく予定である。
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