本研究は、19世紀中葉に対馬から伝わった清・朝鮮情報が日本に流通していくメカニズムを解明し、その上で幕府・大名家による海外情報の受容と反応を史料から読み解き、「東アジア情勢」対「日本」の構図で日本の政治的反応の展開を検証することを目的とした。具体的には、アヘン戦争や太平天国の乱、アロー戦争の戦況に関する情報の日本国内流入と流通、これに対する日本側の政治的反応を検証した。その結果、従来の二国間関係で見えてこなかった幕府・大名家の情報受容と反応が確認でき、幕府は複数の情報入手ルートを持っていたので外交主体性の発揮を実現できた、といったことなどが明らかとなった。
|