研究課題/領域番号 |
18K00971
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
土田 宏成 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (00364943)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本近代史 / 災害 |
研究実績の概要 |
2019(令和元)年11月23日(土)午後、横浜開港資料館において、首都圏形成史研究会小委員会「首都圏災害史研究会」の会合を開催した。日露戦後の国内外の災害をめぐる国際的義捐活動に関する研究報告を行った後、1910(明治43)年の大水害に関する研究テーマとしてどのようなものが考えられるかを話し合った。首都圏災害史研究会のメンバーとともに作成している「首都圏災害史年表」について、幕末から明治期までのデータを集成した明治編の改訂、大正編の作成を進めた。 外務省外交史料館において、明治期の災害関係史料の調査を実施し、日露戦争前後の国内外の災害をめぐる国際的義捐活動に関する史料を確認した。それらをもとに、前述の首都圏災害史研究会における報告をおこなった。群馬県立図書館・群馬県立文書館、栃木県立文書館・栃木県立図書館への史料調査を実施し、1910(明治43)年の大水害や、1923(大正12)年の関東大震災、1935(昭和10)年の風水害、1941(昭和16)年7月の台風、第二次世界大戦後の災害(カスリーン台風、今市地震、キティ台風)に関する史料を確認した。 1910(明治43)年の大水害に関して、水害発生直後の政府(第2次桂太郎内閣)の対応と問題点(特に被害発生時の閣僚の不在)、水害の政治的・社会的・国際的影響、救援・義捐活動について検討した。それらの内容を2019年7月開催予定の第40回土木学会土木史研究発表会で発表するための講演用論文としてまとめ、投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「首都圏災害史年表」について、幕末から明治期までのデータを集成した明治編の改訂、大正編の作成を進めたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための図書館閉鎖により、作業が停滞している。大正編については、各地域のデータ集めの途中で作業が止まってしまい、それらを統合した年表の作成にまで至らなかった。 前年度に実施できなかった北関東(群馬県・栃木県)における災害関係史料調査は実施することができたが、いっぽうで2月~3月に予定していた茨城県における史料調査は新型コロナウイルス問題のために延期せざるを得なかった。国立国会図書館憲政資料室における調査も、新型コロナウイルス問題による同館の閉館により十分に実施できなかった。 首都圏形成史研究会小研究会「首都圏災害史研究会」のメンバーとともに進めている1910(明治43)年の大水害に関する共同研究では、研究テーマとして、府県や利根川流域などの各地域における状況、政党との関係、区画整理、国際的な義捐活動、救恤、警察・消防・陸海軍の活動などが挙げられ、各自で研究を進め、2020年春に中間報告会を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から研究会を延期した。
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今後の研究の推進方策 |
「首都圏災害史年表」作成作業では、自治体史等から収集したデータの入力作業の第一段階でOCRアプリを活用して、省力化と作業時間の短縮を図る。新型コロナウイルス感染症拡大防止のための図書館閉館により、データそのものの収集が困難になってしまったが、「首都圏災害史年表」のうち、明治期については暫定版ができている。今後、図書館の開館状況をみながら、暫定版の改訂作業を進めるか、少しでも早くその活用を図るため暫定版のまま公開するかを検討したい。 「首都圏災害史研究会」メンバーとの共同研究活動については、しばらく各個人で研究を進めてもらう。ただし、対面での会合が今後も長期にわたって困難な場合は、インターネットを活用するなどの方法で対処したい。 災害関係史料の収集についても、インターネットを通じて可能な限り収集する。各新聞社の新聞記事データベース、国立公文書館デジタルアーカイブ、国立公文書館アジア歴史資料センター、外務省外交史料館「日本外交文書デジタルコレクション」、国立国会図書館デジタルコレクションなどを活用したい。刊行された資料集の購入も検討したい。そのうえで図書館、文書館の閲覧業務が再開したら、速やかに調査を実施したい。 災害発生後には、衛生環境の悪化により感染症発生のリスクが高まる。新型コロナウイルス問題の経験も踏まえ、過去の災害時における感染症の発生・防止というテーマにも取り組み、知見を得たい。
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次年度使用額が生じた理由 |
OCRアプリを使用することで、アルバイトによる入力作業を省くことができたことや、コロナウイルス感染症拡大防止を目的とした図書館・史料館の閉館、出張の見合わせのために史料調査を延期したこと、同じく研究会の開催を延期したことが理由である。 このうち延期した事業については、状況の改善を待って実施したい。また、今後もこうした制限が続く可能性があるため、インターネットを通じた史料収集、研究活動に力を入れたり、刊行された資料集を購入したりなどを検討したい。
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