研究課題/領域番号 |
18K00972
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
耒代 誠仁 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 准教授 (00401456)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 古文書 / 古文書画像 / 情報検索 / AIリテラシー教育 |
研究実績の概要 |
新型コロナ禍において、研究代表者自身を取り巻く環境に大きな変化が生じ、当初の研究計画に対する変更を余儀なくされている中で、古文書画像の検索技術を高等教育機関におけるAI教育に応用するための研究に舵を切り、研究活動の継続的遂行を試みている。文部科学省は、数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度を通して、高等教育機関における波及効果の広いAIリテラシー教育を推進している。コンピュータが人間らしい判断を行うプロセスについて理解することは、AI教育における大きな目的の一つである。人間らしい判断の事例を示し、その内容について解説することは当該教育における重要な単元となる。しかし、高等教育機関で波及効果の広い教育を実践することは、履修者が多い授業を用意することに等しい。履修者が多いということは、「人間らしい判断」に対する解釈にも違いが発生することになるが、解釈の多様性を授業の単位で吸収することは容易ではない。研究代表者は、文書が持つ「多くの人に共通の理解を提供する媒体」という特性に着目し、古文書の「読めそうで読めない」という特徴を生かすことで、多様性を自然に吸収しながら波及効果の高いAI教育が実現できるのではないかと考え、古文書検索技術とAIリテラシー教育の融合に向けた取り組みを行っている。2021年度は、主に教育を実践するための環境整備に関する研究発表を実施した。また、2022年度に向けて教材、教示法の開発を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍における社会の変化に対して、研究代表者が置かれた環境に大きな変化が生じた。特に、本業である教育活動面での業務が増大し、当初予定通りの研究の遂行が困難となっている。そのため、研究代表者の業務との相性、および科研費による研究成果の社会へのフィードバックを重視しつつ研究計画を見直し、再出発を図っている最中である。ただし、2021年度については新たな方向性に沿う2件の研究発表を実施し、目標は定まりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の見直しによる影響は生じたが、引き続き古文書デジタルアーカイブの活用を促進するための研究を継続する。AIリテラシーの育成は高等教育機関における急務の課題である。それを現実的なリソースで実現するために、学修者の問題意識の統一は欠かせない。古文書は、AIによる処理対象として優れているだけでなく、高等教育機関における優れた教材となり得る存在である。今後は教材・教示法として古文書デジタルアーカイブを活用し、教育の実践についても研究対象としつつ活動を続ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ禍により研究代表者の研究環境に大幅な変化が生じ、研究計画の修正が必要となった。新たな計画の立案及び遂行に、当初予定よりも長い時間が掛かったため、2022年度に継続して研究活動を実施することとした。
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