研究課題/領域番号 |
18K00973
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
伊東 久智 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 助教 (90434373)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 日本近現代史 / 青年 / 学生 / 政治運動 / 社会運動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、第一次大戦後(戦間期)における地域青年党運動(農村部)と学生社会運動(都市部)との関係性を、双方の事例的実態の比較対照によって解明することにある。その際、地域青年党運動については、第一次大戦後~政党内閣期の愛媛・大分両県を事例として、特に総選挙(第14~18回)との関わりに焦点を当てた検討を、学生社会運動については、同時期の早稲田大学建設者同盟、就中「理論家」として活躍した田所輝明に着目し、思想的転回の過程やその後の無産政党時代における選挙運動に焦点を当てた検討を、それぞれ具体的な課題として設定している。 平成30~令和2の各年度とも、地域青年党運動と学生社会運動の各々について、文献調査と史料調査を組み合わた研究計画を立案しているが、平成31・令和元年度の当初目標及び実績の概要は以下の通りである。まず当初目標として、地域青年党運動については、①大分県地方史関係文献の調査継続と、②大分県内発行地方紙の現地調査(第17~18回総選挙関連記事の収集・調査)を、学生社会運動については、③建設者同盟(参加者)関係文献ほかのリスト化・収集・調査と、④建設者同盟機関誌『青年運動』(1924年2月~25年7月)の調査を、それぞれ設定した。 次に実績の概要であるが、上記当初目標のうち、地域青年党運動の①については、前年度以来のリスト化・収集作業を終え、具体的な調査へと移行しつつある。②については、計画通り現地調査を実施し、該当史料を収集することができた。学生社会運動の③についいては、他団体(東京帝国大学新人会)の関係文献も加えて調査がほぼ終了した。ただし④については、前年度未済となっていた『建設者』(1922年10月~23年12月)の調査を優先した関係上、未調査分も残されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記「研究実績の概要」欄にも記載した通り、本研究の平成31・令和元年度の当初目標は、地域青年党運動については、①大分県地方史関係文献の調査継続と、②大分県内発行地方紙の現地調査(第17~18回総選挙関連記事の収集・調査)、学生社会運動については、③建設者同盟(参加者)関係文献ほかのリスト化・収集・調査と、④建設者同盟機関誌『青年運動』(1924年2月~25年7月)の調査であったが、①~③については概ね順調な進展が、④についてはやや遅れがみられる。 もっとも、研究計画上、令和2年度にかけての継続課題となっている③がほぼ終了しているため、今後、その分のエフォートを④に割くことが可能である(遅れは調整の範囲内に収まっている)。
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今後の研究の推進方策 |
文献による全体的状況の把握と具体的な史料調査の開始を目標とした平成30年度、文献による個別的対象の掘り下げと史料調査の継続を目標とした平成31・令和元年度につづき、令和2年度は文献調査の補遺と史料調査の完了を目標として研究を進める。 まず地域青年党運動については、これまでの史料調査(史料の残存状況等の確認)を踏まえて、愛媛・大分両県としてきた対象地域を、愛媛県に絞り込むべきとの判断に傾きつつある。そのため令和2年度は、愛媛県を対象として、当該期の総選挙だけではなく、地方議会選挙も含めたより包括的な史料調査へと方針を転換する(その一部は、令和元年度に大分調査とともに実施した愛媛調査においてすでに実施している)。それにともない、文献調査の補遺についても、愛媛県地方史関係文献の(再)調査に充当することとする。 学生社会運動については、既述の通り、文献調査がほぼ終了しているため、これまでの研究でやや遅れがみられる建設者同盟機関誌=『青年運動』及び『無産階級』『無産農民』(1925年9月~26年12月)の調査に注力していく。
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