本研究は、第一次大戦後(戦間期)における地域青年党運動(農村部)と学生社会運動(都市部)との関係性を、双方の事例的実態の比較対照によって解明することを目的として実施された。その際、地域青年党運動については、愛媛・大分両県を事例として、特に総選挙(第14~18回)との関わりに焦点を当てた検討を、学生社会運動については、建設者同盟を事例として、特に「理論家」として活躍した田所輝明(思想的転回の過程やその後の無産政党時代における選挙運動)に焦点を当てた検討を、それぞれ具体的な課題として設定した。 平成30~令和2の各年度とも、①地域青年党運動と②学生社会運動の各々について、文献調査と史料調査を組み合わせた研究計画を立案・実施したが、その実績の概要は以下の通りである。まず平成30年度には、①大分県地方史関係文献の調査・収集と、同県内発行地方紙(第14~16回総選挙関連記事)の現地調査、②社会主義・共産主義運動全般にわたる文献の調査・収集と、建設者同盟機関誌『建設者』(1922~23年)の調査を、それぞれ進めた。 次に平成31・令和元年度には、①大分県地方史関係文献の調査と、地方紙現地調査の継続(第17~18回総選挙関連記事)、及び愛媛県内発行地方紙の現地調査(補遺)、②建設者同盟同人の関係文献ほかの調査・収集と、機関誌『青年運動』(1924~25年)の調査を、それぞれ進めた。 最後に令和2年度には、①愛媛・大分両県地方史関係文献の調査(補遺)、②建設者同盟同人の関係文献ほかの調査継続と、機関誌『無産階級』『無産農民』(1925~26年)の調査を、それぞれ進めた。なお、愛媛・大分両県内発行地方紙の調査(補遺)を実施する計画であったが(愛媛県の一部については、前年度に前倒しで実施済み)、新型コロナウィルス感染症の拡大を受けて中止し、その分のエフォートを上記文献調査に充てた。
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