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2020 年度 実績報告書

先秦時代血縁集団の研究―清華簡歴史説話諸篇を用いた楚地域からの定点観測―

研究課題

研究課題/領域番号 18K00989
研究機関東京大学

研究代表者

小寺 敦  東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (30431828)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード清華簡 / 越公其事 / 趙簡子 / 先秦時代 / 血縁 / 晋 / 楚
研究実績の概要

本研究の最終年度である3年目は新型コロナウイルス感染症の流行と重なり、国内外での学会・研究会活動の停止など、研究の進行に対する障害は想定外に多かったが、可能な限り計画を予定通り遂行するよう努力した。まずは清華簡第7冊所収の出土文献の釈文作成を仕上げ、本年度の研究の基礎とした。その成果として「清華簡『越公其事』譯注」を所属機関の紀要に発表した。これに加えて研究対象文献に関するテキスト型データベースの作成を継続した。更に9月には台湾で開催された国際学会「第二屆《群書治要》国際学術研討会」にオンラインで参加した上で「関於清華簡《趙簡子》中的晋国君主」を発表した。そこでは清華簡『趙簡子』の春秋時代晋国三君主の評価について他の出土文献・伝世文献と比較しつつ、その記事が比較的中立的立場から書かれており、中原を含む北方と楚との間に共通する歴史認識が存在したことを論じた。この報告は論文集の一部として台湾で出版される予定である。本研究の3年間において明らかにしたことで特に意義があると考えられるのは、楚地域と中原地域における血縁集団に関する認識には、想定された以上に共通項が多いということである。楚と中原における文献の伝播を通して、しばしば思われているような中原から楚への一方通行ではなく、相互に影響を及ぼし合いながら共通した認識が生まれ、現実社会にもフィードバックがなされたあり様が浮かび上がってきた。このことは地域間の諸要素が複合的に組み合わさって後の漢字文化圏の原型が成立した可能性を意味し、それに属する社会を考察する枠組みにも影響を及ぼす重要性がある。なお本研究の2年目の成果である「楚からみた晉--清華簡『子犯子餘』を起點として」の中国語訳「以楚観晋--従清華簡《子犯子余》説起」が論文集の一部として中国で出版されることになった。これは本研究の成果が海外でも一定の評価を得たことを意味する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 清華簡『越公其事』譯注2021

    • 著者名/発表者名
      小寺敦
    • 雑誌名

      東京大学東洋文化研究所紀要

      巻: 178 ページ: 262-364

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 以清華簡《繋年》為中心看楚地區的歴史觀2020

    • 著者名/発表者名
      小寺敦
    • 学会等名
      第二屆《群書治要》國際學術研討會--《左傳》學之多元詮釋
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 東京大学東洋文化研究所 教員(研究部門) 小寺敦 全業績

    • URL

      https://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/faculty/prof/kotera.html

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公開日: 2021-12-27  

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