研究課題
基盤研究(C)
本研究においては、基礎作業として、清華簡報告書第7冊に収録された出土文献の訳注を作成し、そこに見える先秦時代における血縁集団と関係する事項のテキスト型データベースを作成した。その上で、これら基礎作業をもとに個々の出土文献から検討すべき問題点を抽出した。先秦時代の血縁集団に関する個別の論点を議論し、当時の人々の歴史認識に至るまで検討を行った。これらの研究成果は国際学会や学会誌などで発表した。
中国古代史
本研究により、中国先秦時代の楚地域と中原地域における血縁集団に関する認識については、しばしば思われているような中原から周辺への一方通行ではなく、文献の伝播を通して、相互に影響を及ぼし合いながら共通した認識が生まれたことが明確になってきた。このことは地域間の諸要素が複合的に組み合わさって後の漢字文化圏の原型が成立した可能性を意味し、それに属する社会を考察する枠組みにも影響を及ぼす重要性がある。