研究課題/領域番号 |
18K00991
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
蓮田 隆志 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (20512247)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ベトナム / 古文書学 / 近世 |
研究実績の概要 |
本研究は、ベトナム・ホイアン市のホイアン遺跡保存管理センターに寄託されている17・18世紀の華人集落の行政文書を検討し、とりわけ書式や機能面などからその特徴を明らかにしようとするものである。 しかしながら、本年度・昨年度ともに新型コロナウイルスの流行によって、ベトナムでの文書館調査が実施できなかった。そのため、既に収集している史資料の分析のみに留まった。いずれも文書館調査を行う前提での予備的な史料整理と検討だったため、論文の形で成稿するには至っていない。 代替的な形で、本研究プロジェクト以前から収集してきた史料を用いて学会報告を2本行った。1つは、ベトナム・ゲアン省科学技術局主催のシンポジウムにベトナム語の会議提出論文(ベトナム側の主催者が代表者に代わって内容を要約説明)として「越日通交における最古の文書についてのいくつかの考察」を提出し、外交文書の古文書学的考察の成果を共有するとともに、日本における史料の残存状況について簡単に説明した。代読者によると、ベトナム側の反応は好意的なものだったとのことである。もう1つは、外交文書の内容分析から、15~16世紀の両シナ海行きにおいては中国の設定した朝貢の論理と政体間での情報のギャップを利用した商人たちによる「偽使事業」とでも呼べるような行為が広く行われてきたということを仮説的に提起した(「偽使の海域アジア史からみる日越関係」(第18回 アジア太平洋カンファレンス))。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度もベトナムでの文書館調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の流行により、これを断念せざるを得なくなった。そのため、文書を実見しての検討を行うことができず、当初予定の3年間で研究を取りまとめることができずに翌年に繰り越すこととなった。そのため、「遅れている」と評価せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の夏期にベトナムでの文書館調査が実現することを期待しつつも、現状ではかなり先行きが暗い。そのため、現在手元にある史料のみに依拠して最終的な成果を取りまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延のために海外調査ができなかったため。21年度に渡航が可能であれば文書館調査に利用するが、不可能な場合はベトナム史・東アジア文書研究の書籍購入に充てる。
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