研究課題
基盤研究(C)
シャムと東アジアをつなぐ地域的な視野のもとに、19世紀後半から20世紀初頭における華人の動きとシャム政府の対応に着目した複数の論考をまとめ、英語で公刊し、国際会議でも報告した。また起点となるバウリング条約締結(1855年)における王権の権威と中国の位置づけについて、新たな理解を示す論考をまとめた。さらに、それまで十分考慮されてこなかった華人の経済活動と条約改正の動きとの関係についても検討した。
タイ近代史
ウェスタンインパクト的なシャム近代史の理解に対して、1855年のバウリング条約締結から、20世紀初頭における英・仏との条約改正交渉過程で、さまざまな場面で華人の動きが重要な考慮要件であったことが示唆される。他方、史料の面では、複数の言語史料の利用に加え、漢文印などの物質的な側面にも着目するなど、改めて「現物」の重要性も提起し、新たな議論を開く論点を提供している。