研究課題/領域番号 |
18K00995
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古松 崇志 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (90314278)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 金国 / 女真 / 儀礼 / 祭天 / 祖先祭祀 / 『三朝北盟会編』 / 多国体制 |
研究実績の概要 |
本研究は、金代の王朝儀礼のうち、祭天儀礼、祖先祭祀儀礼、元日・聖節(皇帝の誕生日)の祝賀儀礼などをとりあげ、各種儀礼の沿革や儀式次第を詳細に分析するとともに、考古学の成果を参照して儀礼制度を都城空間のなかで検討することをつうじ、金国の王権や支配体制の特質を実証的に再検討することを目指すものである。 本年度は、まず金代儀礼研究の基本文献である『大金集礼』について、従来の文献研究の成果と課題に関して整理をおこなった。そのうえで、『大金集礼』や『金史』礼志を中心とする文献史料を精査し、金代の祭天儀礼(拝天・郊祀)と祖先祭祀(原廟・太廟・山陵)を通時的に検討した。この作業をつうじて、中央ユーラシアの狩猟遊牧民に特徴的にみられる祭祀方式に、中原王朝から導入した儒教式の祭祀が重層していく様相を明らかにして、金国の支配体制の特徴と変容を考察した。これについては、次年度以後に論文を発表する予定である。また、金国の歴史を考える前提として、12世紀前半における宋(北宋・南宋)・金両王朝間の戦争や外交などの関係史について詳述する南宋の史書『三朝北盟会編』の文献研究を進めた。 そのほか、より広い視野に立って研究課題を考究すべく、10~12世紀のユーラシア東方における複数王朝が並存する「多国体制」について、これまでの研究代表者の研究成果をふまえて再検討する論考を『唐代史研究』誌上に発表した。これにくわえ、「帝国」を切り口に11世紀ユーラシアの比較史の論点に供すべく、契丹・北宋という異なるタイプの南北「帝国」が並存するユーラシア東方史の時代状況を概観する論考を『西洋史研究』誌上に発表した。 なお、当初予定していた海外調査はコロナ禍により断念せざるを得ず、次年度以後に繰り延べることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料の収集・整理と分析はおおむね計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
金代の祭天儀礼と祖先祭祀儀礼についての研究を完成して論考を発表する予定である。また、中国内モンゴル自治区や遼寧省、北京市での現地調査を計画しており、遼金時代にかかわる最新の考古学的な調査・研究成果についての情報・資料を収集する予定だが、新型コロナウイルスの影響がつづくことが想定されるので、現地調査を次年度以後に繰り下げる変更をする可能性もありうる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスにより、海外調査をおこなうことができなくなったため。次年度に海外調査旅費として使用する予定である。
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