本研究は、まずヴェトナム黎朝期の法令集の活字化・電子化作業を行い、黎朝草創期の『国朝刑律』が、既に黎朝後期には根本法の実態が無かったことを明らかにし、ついで黎朝後期の法令集と明清法との比較分析を行うことにより、明清法の影響力の大きさを示すことを目的とした。 結果、研究期間中に『国朝刑律』が黎朝最盛期を築いた5代聖宗期の「洪徳律」に基づくとする通説を批判した解題(中国語論文としても公開)付きの校合本を出版し、『国朝刑律』に見られる「貶資」「充軍」といったヴェトナム独特の刑が、黎朝後期にはすでに意味をなしていなかったと結論づける論文二本、学会報告二回を公開した。
|