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2019 年度 実施状況報告書

19 世紀中国の封建国家論と地方分権をめぐる研究―太平天国と督撫重権を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 18K01002
研究機関国際基督教大学

研究代表者

菊池 秀明  国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20257588)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード太平天国 / 曽国藩 / 李鴻章 / 軍事組織
研究実績の概要

今年度は夏まで比較的順調に研究を進めた。うち太平天国と湘軍の活動の全体像について、著書としてまとめる作業を行い、本課題と関連の深い1860年以後の両勢力の動きについても档案史料と英文史料、欧米研究者の研究成果を参照にしながら分析を進めた。
9月初めに史料収集のため香港を訪問し、そのまま中国に入って調査を行う予定でいたが、出発直前に突然予約していた中国高速鉄道のチケットがキャンセルされ、中国へ入ることが出来なかった。香港デモの影響と思われ、やむなく香港滞在だけに予定を切り替えた。
また10月に中国で学会が予定されており、論文も執筆して送ったが、これも突然「事情により外国人の参加はお断りせざるを得なくなった」との連絡があった。おりから北海道大学の日本人教授が北京で拘束される事件が発生し、抗議のため中国での学会参加を見合わせる動きが研究者の間で広がったため、年末まで訪中を見送らざるを得なかった。その間は曽国藩、李鴻章の軍組織について分析し、論文の執筆を準備した。
さらに2月初旬に3度中国を訪問する計画を立てたが、今度は1月中旬からコロナウイルスの影響が広がり、調査を断念せざるを得なかった。その影響は年度が改まった現在も続いており、5月に予定されていた北京での学会も延期となっている。
全体としてみれば、香港情勢、日中関係の緊張およびコロナウイルスの影響により、研究、なかでも海外調査が大きく制約された一年であった。これまでの研究成果を著書としてまとめる作業も、やはりコロナウイルスの影響などで編集作業が中断しており、現状では見通しが立っていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

香港デモ、中国政府による日本人教授の拘束、コロナウイルスの蔓延により、3度中国へ入国して調査、学会参加を行う予定を立てたが、実行することが出来なかった。またこの間、これまでの研究成果を著書としてまとめる作業を進めたが、こちらも編集作業が中断してしまっている。

今後の研究の推進方策

手元の史料分析と論文の執筆はある程度進んでいるので、国外での史料収集と研究報告を精力的に行う。中国国内での活動は政治的なリスクが大きいので、台湾、香港およびアメリカでの活動にウエイトを移して対処する。
ただしこれらの推進策も、コロナウイルスが収束して海外調査が可能とならない限り実現できない。元々科研費は研究期間を1年間延長することが可能であるが、コロナウイルスがくり返し流行する危険が大きいことを考えると、情況によっては1年間では充分な成果が得られない可能性が大きい。
ぜひ科研費の制度を柔軟に運用し、特例として2年間の延長を認めるようにして頂きたいと願っている

次年度使用額が生じた理由

中国での学会参加、史料収集が3回にわたって中止となったため。今後は調査地を台湾、香港、アメリカに移して研究を進めるが、中国にしかない史料についてはオンラインでアクセス出来ないか検討する。
ただし近年中国は政治的統制が厳しく、史料の公開については後退しているので、実現には時間がかかると予想される。そこで二次文献として利用可能な書籍の購入に重点を置く。また使用中のデスクトップのパソコンが旧式であるため、オンラインの作業に備えて買い換えを行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 暴力革命は肯定されるか-南京占領時期の太平天国の宗教に対するヨーロッパ人の認識2020

    • 著者名/発表者名
      菊池 秀明
    • 雑誌名

      アジア文化研究

      巻: 46 ページ: 17-29

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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