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2020 年度 実施状況報告書

19 世紀中国の封建国家論と地方分権をめぐる研究―太平天国と督撫重権を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 18K01002
研究機関国際基督教大学

研究代表者

菊池 秀明  国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20257588)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード太平天国 / 地方分権 / 聯省自治 / 湘軍 / 曽国藩 / 李鴻章
研究実績の概要

本年度もコロナウイルスの影響により、海外調査を実施できなかった。そこですでに入手した史料をもとに太平天国の南京における諸政策について論文をまとめた。また単著の著書『太平天国ー皇帝なき中国の挫折』岩波新書を刊行し、太平天国の全体像を提示すると共に、太平天国とその後の社会がなぜ地方分権の可能性を実現できなかったかを考察した。
これと並んで、単著『ラストエンペラーと近代中国』中国の歴史10(講談社、2005年)を講談社学術文庫から再刊することになり、本研究課題と関わる郡県・封建論争や聯省自治の可能性とその限界について、新たに加筆する形で分析を進めた。その「あとがき」でも近年の強大化した中国をどのようにとらえるべきかについて議論を展開し、近年の研究成果を盛り込んだ(4月15日に刊行済み)。
上記の二冊の著書の刊行と並んで、プレジデント、講談社現代ビジネスなどに小論を寄稿し、香港、台湾情勢に関わる現代の中国を「地方分権の萌芽とその挫折」として理解すべきことを結論づけた。
以上、極めて制約の多い一年であったが、その分現代の中国情勢に直接関わる研究成果の発信を行うことができた。ただし研究課題そのものはなお進捗状況がはかばかしくない。中国の政治情勢に起因する研究遂行の困難さは2019年夏の香港デモ、岩谷教授(北海道大学)の拘束事件以来継続的に続いている。当初の研究期間内に課題を達成することはなお難しい状態であり、通常の1年間延長以外にぜひとも研究期間の延長を望みたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナウイルスの影響で海外調査ができないことが一番の理由である。また中国の場合は2019年の香港デモ、岩谷教授(北海道大学)の拘束事件以来、政治的に敏感な問題に関わる調査を行うことが難しい状態が続いている。
とくに2020年の国家安全法の成立によって、海外の研究者が拘束される危険が高まっており、今後もしばらくは中国での学会参加や調査活動は警戒が必要である。
当初の研究期間内に課題を達成することはなお難しい状態であり、通常の1年間延長以外にぜひとも研究期間の延長を望みたい。

今後の研究の推進方策

調査の重点を中国から台湾、アメリカへ移すことが最善策と考えている。ただしコロナウイルスの影響はなお続き、訪問することは難しい状態のため、オンラインで可能な閲覧の機会を活用することを検討する。
いずれにせよ当初の研究期間内に課題を達成することはなお難しく、通常の1年間延長以外にぜひとも研究期間の延長を望みたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルスの影響と中国の政治情勢の悪化により、訪問調査ができなかった。今後は台湾およびアメリカに重点を移して研究を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 太平天国の南京統治と江南大営2021

    • 著者名/発表者名
      菊池 秀明
    • 雑誌名

      国際基督教大学アジア文化研究所編『アジア文化研究』

      巻: 47 ページ: 1-32

    • オープンアクセス
  • [図書] 太平天国ー皇帝なき中国の挫折2020

    • 著者名/発表者名
      菊池 秀明
    • 総ページ数
      278
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      4004318629

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公開日: 2021-12-27  

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