研究課題/領域番号 |
18K01009
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
秋山 徹 早稲田大学, 高等研究所, 准教授(任期付) (90704809)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中央ユーラシア / 中央アジア / 遊牧 / ソ連 / キルギス |
研究実績の概要 |
本年度の研究概要は以下の2点にまとめることができる。 【1】現地調査の実施 第一に、現地調査の実施である。2019年7月~9月にかけての約3か月間にわたり現地調査を実施した。具体的には、カザフスタン共和国大統領文書館(アルマティ市)、同国中央国立文書館(アルマティ市)、ロシアの外交文書館(モスクワ市)、連邦文書館(モスクワ市)、社会政治史文書館(モスクワ市)、キルギス共和国中央国立文書館(ビシュケク市)、政治文書館(ビシュケク市)において公文書史料を中心に閲覧・収集を実施した。キルギスにおいては、公文書館での作業と並行して、聞き取り調査も実施した。この作業を通して、1916年から1950年代末に至る動向をめぐるより具体的な情報を得ることができた。 【2】口頭報告の実施 まず、年度前半期においては、昨年度までの研究成果の国際発信を目的として、ヨーロッパ中央アジア学会(ESCAS)年次大会(英国エクセター大学)および、東中欧国際学会(ICCEES)東アジアコンフェレンス(東京大学)で英語による研究報告を実施した。年度後半期においては、夏の現地調査で収集した史資料の解析作業にもとづき、国内の研究会において口頭報告を積極的に実施した。北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターでは、「遊牧英雄の末裔たちの現代史」と題した報告を2度にわたって実施した。また、早稲田大学高等研究所の研究プロジェクト「新しい世界史像の可能性」においても「露領中央アジア遊牧系軍事エリートの次世代育成」と題する講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
延べ3か月間にわたり現地調査に集中して従事することができたおかげで、まとまった史資料を収集することができた。とくに、これまで腰を落ち着けて調査することが叶わなかったモスクワの文書館での作業が実現したことで、これまでの研究の空白を埋めることができた。また、年度後半に実施した一連の口頭報告においては、専門が近い研究者たちのみならず、普段はなかなか接する機会が少ない日本史や西洋史の研究者たちからも数多くの貴重なコメントをもらうことができ、中央ユーラシア史のみならず、より広い世界史的文脈のなかでの本研究の位置づけを考えるきっかけとなった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスの世界的蔓延により、国際学会や現地調査に赴くことは断念せざるをえない。ただし、Zoomなどのコミュニケーション手段を通じて、海外の研究者を含めた小規模な国際ワークショップを開催したいと考えている。さらに、昨年度までに収集した史資料と口頭報告にもとづいて論文を執筆し、投稿する作業を集中して行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
米国の国際学会への参加を予定していたものの、パネルを組む共同研究者が急遽参加を取りやめたため、学会への参加をキャンセルしたため。これによって生じた差額は、英語論文の執筆・投稿の際の校閲費として活用することを予定している。
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