本研究は、1923年エジプト憲法の成立を、軍事占領の継続を背景としたイギリスによるエジプトの独立宣言の文脈の中で捉えた従来の研究に対して、1870年代後半から始まったエジプト民族運動の内部で展開した立憲主義の一つの到達点と捉え直した。 今回の研究において、イギリスによるエジプトの独立宣言には独立後の立憲体制の導入が明記されていること、この立憲体制の導入はイギリスとの一連の交渉を行ったエジプト民族主義者の主体的関与によるものであること、エジプト民族主義者間の鋭い対立にもかかわらず、立憲体制の導入は彼らの共通の願いであったことが実証された。
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