研究課題/領域番号 |
18K01011
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
小林 寧子 南山大学, 外国語学部, 教授 (60225547)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インドネシア / イスラーム定期刊行物 / 第一次大戦後 / 汎イスラーム主義 / 国際関係認識 |
研究実績の概要 |
2018年度は、インドネシアの国立図書館(ジャカルタ)で、1930年代のイスラーム定期刊行物Adil(「公正」当初日刊、のちに週刊)のデジタル化の作業を文書館員と協力して行うことが主な作業であった。しかし、研究代表者が5月に病に倒れたために、海外出張が不可能となった。そこで、研究協力者に指名した2名の若手(大学院生、ポストドクターでインドネシア・イスラーム研究に従事)がそれぞれ2週間強、夏休みにジャカルタで作業を行うことになった。そのため、作業工程、作業実施における問題の検討など4回綿密な研究打合せを行った。 デジタル化の作業の大半は、現地の文書館員の作業を確認することに費やされた。この資料は一部が凝固し、スキャン不能であった。これをスキャンするには文書保存の専門家の助けが必要と思われる。そのほかの部分は比較的順調に作業が進み、4分の3近くが終了した。閲覧不可能部分があるのに加え、一般紙との比較検討も必要なことを考えると、やはあり国立図書館に所蔵されている1930年代の日刊紙Pemandangan(展望)を閲覧の可能性もさぐる必要が出てきた。 なお、Adilの使用意義を明らかにするために、研究代表者と研究協力者1名は、2019年3月17日南山大学で開催されたセミナー「'国民国家’インドネシア再考」において、それぞれ1920年代~30年代のイスラーム定期刊行物を基本資料とした研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者が作業できなかった分を研究協力者がカバーしてくれたために、さほどの支障は起きなかった。何よりも、この3人はすでにジャカルタの国立図書館のライブラリアンとはすでに長い交流の中で、信頼関係を築いていたことが大きかった。こちら側からも先方の作業については率直に要望を伝えた。
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今後の研究の推進方策 |
ジャカルタの国立図書館は、2年前からの移転作業の途中であり、昨年度はまだ旧館に所蔵されていたためにスムーズにできた。今後は現地と密接に連絡をとりつつ、Adilの残りの部分のスキャン作業を急ぐとともに、すでに新館に移動した資料Pemandanganなどへのアクセスを確認して、閲覧・デジタル化を進める。同時に、入手した資料の解読を本格化させる。 研究代表者は国際会議(ライデンで2019年8月に開催)で、研究成果の一部を発表する。これをはじめとし、研究協力者2名とともに、国内学会でも研究大会でセッションを組んで本科研の研究課題の意義を発信するとともに、学術誌での研究発表をめざす。
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