研究課題/領域番号 |
18K01016
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研究機関 | 志學館大学 |
研究代表者 |
横山 政子 志學館大学, 人間関係学部, 准教授 (80740349)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中国 / 集団化 / 生活史 / 東北地方 / 農村 / 人民公社 |
研究実績の概要 |
本年度は本研究課題の初年度である。 これまでから断続的に行ってきた体験者への聞き取り調査であるが、本年度は鹿児島県在住の中国残留孤児にインタビュー調査を実施した。聞き取り内容は高級合作社になって生じた農村生活の変化についてである。 文献史料収集としては、近年、中国の档案館の利用が難しくなっている状況下で、初めて米国での史料収集を試みた。夏季休暇中にWashington D.C.において、National Archives ⅡとThe Library of Congress を利用して史料調査と収集を行った。次年度にはこれらの史料の分析を進めたい。 成果公開としては海外での発表の機会があった。本年は、鹿児島県と中国・清華大学との包括協定(MOU)締結5周年であり、かつ日中平和友好条約締結40年、さらに明治維新150周年にあたることから、双方で記念イベントが開催された。その一環として清華大学、南開大学、遼寧大学で発表を行った。鹿児島県には帰国した中国残留邦人などの提言によって建立された養父母の碑がある。このような碑の存在を紹介して、残留邦人やその家族との関わりから中国農村研究へと進んだ経緯および、これまでの研究成果を発表した。 また、立ち上げに参加した中国ジェンダー研究会では、娯楽をテーマに学術書をまとめることを目標にして研鑽を積んでいるところであるが、ジェンダーの視点を有する研究者との学術交流は農村社会における女性の生活に注目する意義を考える上で非常に有益なものとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国における聞き取り調査の実施および档案館での史料収集が容易ではなくなっている状況の下、史料の入手には不確定要素が付きまとう。本年度は日本国内における聞き取り調査や米国での史料収集を実施した。また研究成果を海外で発表する機会に恵まれた。国際学術交流会の開催へと繋げていく計画である。おおむね順調に進展していると考えてよい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本研究課題の2年目にあたる。 体験者がすでに相当の高齢であり、聞き取り調査の限界が迫りつつある。国内外におけるインタビューの機会をさらに模索していく。National Archives ⅡとThe Library of Congressで入手した史料について整理と解読を進めていく。 研究者間の交流としては、農村女性を考察対象とする研究者を招いて国際学術交流会を開催する予定であるが、そのための準備に着手する。また中国ジェンダー研究会による論文集の出版にむけて農村における娯楽に関する原稿の執筆に取り掛かるつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予定していた書籍の購入の時期が後ろにずれ込んだため、次年度使用額からの支出となる。 次年度には書籍の購入の他、中国東北地方に赴いて行う史料調査および日本国内でのインタビュー等を予定している。
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