研究課題/領域番号 |
18K01016
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研究機関 | 志學館大学 |
研究代表者 |
横山 政子 志學館大学, 人間関係学部, 教授 (80740349)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中国 / 集団化 / 生活史 / 東北地方 / 農村 / 人民公社 |
研究実績の概要 |
本年度は研究課題の3年目である。 まず国内における調査について。鹿児島県および関西方面において農村人民公社での生活経験を有する中国帰国邦人にインタビューを実施する予定であった。しかし新型コロナウイルス感染症の流行が収束しない中、体験者が相当高齢であることにも配慮し、インタビュー調査の実施は見送ることにした。 次に、国際的な往来をともなう活動について。中国東北地方への文献史料調査、聞き取り調査などの海外現地調査は、新型コロナウイルス感染症の影響により本年度は渡航を断念した。また本年度の開催を計画していた国際学術交流会も同様の理由で開催できず、延期とした。 このように新たな調査活動などが実施できない状況下において、その時間を使ってこれまで国内外で収集してきた文献史料、口述史料の整理に努め、それらを精査した。その結果、本研究課題である1950年代から60年代の東北農村における生活史の考察に、さらに新たな視点をつけ加えようと思い至った。当該時期、農村に導入された有線放送についてである。東北では中国の他地域に先駆けて農村の有線放送網が敷かれた。このテーマに沿って国内で可能な範囲で関連書籍を収集し考察を進め、まずは口頭発表を行って研究成果を公開した。これを本年度の成果としたい。 また、立ち上げに参加した中国ジェンダー研究会では女性と娯楽をテーマに学術書を出版する計画が進行中であったが、来年度に出版が実現する運びとなった。ジェンダー研究を専門とする研究者たちに啓発されながら論文の執筆を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、国際学術交流会を開催する予定であった。そのために昨年度より準備を進めてきた。しかし新型コロナウイルス感染症の蔓延により海外との往来が叶わず、開催できなかった。収束後には開催したいと考え、延期としている。この国際学術交流会は中国の研究者を招いて、日本の研究者との発表・質疑応答を通して学術交流を深める計画である。本研究課題の中で予定している唯一の国際研究集会であり、研究に与える影響や意義も大きい。よって、この点において遅れていると判断した。 一方で調査が実施できない状況下、すでに入手済みの史料を整理しなおして新たな視点を設定し口頭発表を行ったこと、および研究会における学術書の出版に向けた執筆が順調に進んでいること、これらについては研究課題を進める結果となったと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本研究課題の4年目にあたる。 本年度に開催を見送った国際学術研究会については、参加を予定していた研究者が引き続き参加可能であることから、新型コロナウイルス感染症の流行が収束すれば、是非とも開催にこぎつけたいと考えている。 新たな国内外の調査については、新型コロナウイルス感染症の流行との関係でどの程度実施できるのか予測不能な点が多い。状況を見て対応する。 万一収束が遅れる場合には、これまでに入手済みの史料をさらに精査する、コロナ禍においても入手可能な文献を収集するなどを行い、口頭発表や論文執筆に結びつけ研究成果を公開する所存です。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外で予定していた調査を実施できなかったことに加えて、特に本年度に開催予定であった国際学術研究会が新型コロナウイルス感染症の流行により延期となった影響が大きい。この予算は次年度に持ち越し、開催できる状況になった場合の開催費用に充てるつもりである。
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