研究課題/領域番号 |
18K01018
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研究機関 | 北海商科大学 |
研究代表者 |
山田 勅之 北海商科大学, 商学部, 教授 (40582995)
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研究分担者 |
白館 戒雲 大谷大学, 文学部, 名誉教授 (10179062)
黒澤 直道 國學院大學, 文学部, 教授 (30383988)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ナシ学 / ナシ族 / 歴史史料 / 社会経済史 |
研究実績の概要 |
・調査:本年度は、コロナウイルス感染症の終息にともない、以下の通り2回調査を実施することができた。 ・2023年9月4日~17日:成都市で西南民族大学のツェリン・ドルジェ講師より、トンバ教典記載のチベット語の解釈について、ご教授いただいた。また、四川民族大学のドルマ・ツェリン講師より、チベット語史料『シトゥパンチェン自伝』記載の地名についてご教授をいただいた。麗江市の東巴文化研究院・元研究員和力民氏より、同史料記載の地名(麗江市内)ついてご教授いただいた。その後同史料記載のチベット語地名の同定のため、麗江~シャングリラ市周辺(巴落、橋頭、シャプツァ・チュ、タモンガ)を調査(車両チャーター)し、概ね同定することができた。さらに四川省郷城県周辺(トルマロン、ドンスム、ルタ、サンペリン、ラタ、チューペルリン)を調査(車両チャーター)して同定した。雲南社会科学院のタムディン氏より、雲南省内のチベット語古籍の保護状況について、ご教授いただいた。 ・2024年3月9日~17日:西南民族学院のトゥプテン・プンツォク元教授と四川民族学院・ドルマ・ツェリン講師からチベット語史料『シトゥパンチェン自伝』記載の術語、地名、寺院名などについてご教授いただいた。また、四川省内の寺院に関する資料の提供を受けた。徳欽県政府文聯のタシニマ主任と同阿注氏より、同史料記載の術語、地名、寺院名などについて情報をいただいた。その後、3日間にわたって、同史料記載のチベット語地名の同定のため徳欽県・維西県(デチェン寺、アドン上下村、シギュ、メロン、ジャン、ヤンゾム、シェルタン、ラプカルタン、葉枝、康普、寿国寺、茨中、ラプセルタン、禹功、石底、ゴプなどを調査(車両チャーター)して同定することができた。また、康普では乾隆期の漢文・チベット文合璧石碑を撮影した。 ・研究成果:論文3編。詳細は別途参照。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの進捗状況は以下の通りである。①ナシ族歴史史料目録(石刻)原稿校訂。これについては概ね完成している。②麗江及びその周辺、鶏足山の石碑拓本の翻刻。『北京図書館藏中国歴代石刻拓彙編』と『中国西南地区歴代石刻彙編』、2018~2019年度現地調査における写真撮影などで収集した金石史料の翻刻を進めているが、全体としては5分の2程度の進捗状況である。③ナシ族トンバ経典中のチベット文字の同定と解釈。『納西東巴古籍訳注全集』掲載トンバ教典中に散見されるチベット文字の同定と解釈。同定は概ね終了しているが、その解釈についても一定の到達点には至っており、その成果論文の執筆は終えている。④麗江土司木増著、シトゥパンチェンチベット語訳『ターラーの偈頌』の和訳。和訳は概ね終了している。令和6年度では成果発表を行う予定である。⑤『シトゥパンチェン自伝』「第1回麗江行」訳注は論文として投稿・掲載済みである。「第2回麗江行」について和訳自体はは概ね終了しているものの、一部地名の同定が至らず、現地調査の必要がある。 年度末に本科研の報告書を出版する予定であるが、原稿の整理などが未着手である。 以上から、「やや遅れている」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
上記のうち未完の、②麗江及びその周辺、鶏足山の石碑拓本の翻刻、④麗江土司木増著、シトゥパンチェンチベット語訳『ターラーの偈頌』の和訳。⑤『シトゥパンチェン自伝』「第2回及び第3回麗江訪問」訳注の完成を目指す。また、前述の2回の現地調査の成果を整理する必要がある。最終年度でもあることから、国内における研究会の実施と成果報告書の作成に注力していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度に予定していた、国際シンポジウムの開催と現地調査が、コロナウィルス感染症流行のため実施できなかったたことが、次年度使用額が生じた大きな理由である。令和6年度においては、国内における研究会の実施と本科研報告書の作成費用に充当する予定である。
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