研究課題/領域番号 |
18K01024
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
菅 美弥 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50376844)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | センサス / 調査票 / 環太平洋 / リンケージ / 移民・移住 |
研究実績の概要 |
米国センサス史の全体像について理解を進めた。研究課題のひとつである、センサス調査票の経年的(longitudinal)なリンケージのため、マサチューセッツ州とロードアイランド州のコロニアル・センサスに遡り、マイノリティに関する調査がどのように行われていたのか、現地(ロードアイランド州アーカイブ等)において史・資料収集を行った。ネイティブ・アメリカンやアフリカン・アメリカンの場合には、調査票の経年的リンケージの課題として、本来いたはずの人口が反映されないアンダーカウントが顕著であるといわれているが、コロニアル・センサス、独立戦争時のミリタリー・センサス、建国直後の州センサス、さらにはローカルなセンサス等、多様なセンサスとのリンケージが全体像把握のために必要であることを現地調査によって確認した。 次に、課題2としての、センサスと日米の史・資料とのリンケージについては、1870年センサスに記載のあった「若松コロニー」を始めとする、初期の移住者に関して、日本側とアメリカ側の様々な史料の収集を行った。その際、幕末・明治初期の人の移動に関する国内調査として、「若松コロニー」と同時期の北海道移住に関する史料収集(札幌 北海道博物館、北海道大学図書館)及び、横浜と函館の二つの居留地のトランスパシフィックな送り出しネットワークについての史料を収集し、データベースを作成した。このことによって、従来ナショナルな文脈で検証されてきたアメリカ・センサス史と、出移民研究への関心が希薄となっている日本人移民・移住史をつなぐ作業に着手することが出来た。江戸時代の文書の解析等、方法論上の課題を整理しつつ、幕末、明治初期の激動期のトランスパシィフィックな移住と移動の軌跡について、査証、日米双方の新聞などの一次史料と1860年、1870年のセンサスの調査票記録のリンケージとその検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
センサス史の全体像の把握と、日本側の資・史料収集の双方を着実に行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
目下の課題は、日本側の幕末・明治初期の史料の多くが崩し字で書かれているため、読解に時間がかかることである。今後は、環太平洋の移動の軌跡を把握するために、専門家のアドバイスを基に、効率的な言語的訓練を推進する予定である。 また、センサス調査票のみならず、新聞記事など、次々にデータベース化されるデジタル・アーカイブズを駆使するため、活用方法について習熟し、史・資料収集の一層の効率化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
369円の端数が出たため、次年度に繰り越しをして研究遂行のため活用したいと考えた。次年度は、海外出張においてこれまでの成果について招待講演や研究発表を予定しているほか、物品等購入に有効活用する計画である。
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