研究課題/領域番号 |
18K01032
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
飯田 洋介 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (50506152)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 西洋史 / 外交史 / 海事史 / ビスマルク / 独仏戦争 / パリ宣言 / プロイセン海軍 / 日独関係 |
研究実績の概要 |
本研究は、ビスマルクが独仏戦争(普仏戦争)時に当時の国際海洋ルールであった1856年の「パリ宣言」を引き合いに出して交戦国フランスや中立国イギリスに対して必死に外交攻勢をかけようとしていたことを示す未公刊史料を手掛かりに、「パリ宣言」が絡む海洋問題という視角からこの時のビスマルク外交をグローバルな文脈で再検討するものである。二年目である本年度は、①関連文献の収集と先行研究の整理、②米英仏での史料調査を目標に設定した。
本年度の研究実績としては、関連文献の収集に加え、英仏での未公刊史料の収集を挙げることができる。具体的には、2019年9月にフランス外交史料館とイギリス国立公文書館を訪問、そこで独仏戦争時にプロイセンとフランスが日本を舞台に繰り広げていた2つの外交交渉(具体的には、日本・中国水域での中立化に関する協定と日本の局外中立宣言をめぐる駆引き)に関する外交文書・海軍文書を調査して、史料収集に努めた。フランスの史料調査先は当初フランス国防史編纂部を予定していたのだが、前年度の横浜での予備調査の結果、閲覧すべき文書がフランス外交史料館に所蔵されていることが確認できたため、そちらに変更した。本来であれば、2020年3月に米国で史料調査を予定していたのだが、英仏での史料調査の成果を受けて、2020年度に予定していたドイツでの史料調査を今年度に前倒しして行おうと準備を進めていたのだが、2020年3月の新型コロナウィルス禍に伴う海外渡航自粛の要請に応じて、海外史料調査を中止した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に設定した目標2点(①関連文献の収集と先行研究の整理、②英仏での史料調査)をある程度達成することができたため。新型コロナウィルス禍によって2020年3月に海外史料調査ができなかったのは本研究にとって痛恨の極みだが、(事情を説明したところ)ドイツの文書館からこちらが閲覧を希望していた文書を複写取寄せできたことは不幸中の幸いであり、これによって研究に大きな遅れを生じさせずに済んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度(本研究課題最終年度)は、これまで収集してきた史資料を駆使して、極東を含めたグローバルな視角から独仏戦争期のビスマルク外交の再検討に努め、その研究成果を本研究課題の総括として公開することを目指していく。具体的には、2021年春に学術書刊行という形で本研究の成果を公開する予定である。
なお、今年度実現できなかったアメリカ国立公文書館ならびにアメリカ議会図書館での史料調査については、新型コロナウィルス禍が終息して状況が許せば行うつもりである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた最大の理由は、2020年3月に予定していた海外史料調査が、新型コロナウィルス禍に伴って中止となったためである。
ここで生じた次年度使用額は、アメリカでの史料調査の旅費にまわしたい。
|