研究課題/領域番号 |
18K01033
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
井内 太郎 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (50193537)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 海事史 / イングランド / 船員 / 語り / 遺言書 / 船上共同体 |
研究成果の概要 |
(1)船上遺言書の史料論的検討。遺言書には財産の遺贈、船員たちの社会的ネットワークなど重要な情報が溢れていることが明らかになった。(2)16世紀半ばの西アフリカのへの航海と船上共同体の実態。本研究では1553~1565年に行われたギニア航海を具体的検討対象とした。大航海時代に船上遺言書の数が増加してくる背景には、死亡率の急増があった。内容の殆どが船内における船員同士の貸借関係に関するものであり、船内では信用経済に基づく活発な経済活動が行われていたことが明らかとなった。(3)以上の検討から、船員たちは遠洋航海が発展する中で、独特のサブカルチャを持つ海事共同体を形成していったことが明らかとなった。
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自由記述の分野 |
人文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の学術的意義は、以下の点にある。(1)無数の船乗りのナショナルな物語に回収しきれない多様な姿やアイデンティティを掘り起こし、(2)彼ら独自の会的ネットワーク、心性、文化空間を再構築し、(3)これまで過渡に陸中心的なイメージで叙述されてきた近世イングランドの歴史像について、よりバランスのとれた多様な姿を描くことができた点にある。 また方法論的には、これまであまり注目されてこなかった、船員たちが航海途上で作成した船上遺言書について、厳密な史料論的検討を行った上で検討し、船員たちに語らせることに成功した点は、近年注目されているエゴ・ドキュメント研究の成果としても重要な意義がある。
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