| 研究課題/領域番号 |
18K01035
|
|---|
| 研究機関 | 山口大学 |
|---|
研究代表者 |
竹中 幸史 山口大学, 人文学部, 教授 (00319386)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
| キーワード | フランス革命 / 国旗 / 国歌 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究は、19世紀前半のフランス史の展開において、国旗および国歌が果たした機能と、市民によるそれらの受容や拒絶、また改変の実態を、わが国では初めて実証的に考察する。対象地域は、セーヌ＝マリチム県の主邑ルアン市である。
本年度も、新型コロナウィルス感染症蔓延のため、予定していたルアン市立図書館、セーヌ=マリチム県文書館、パリの国立文書館、国立図書館における史料収集を断念せざるを得なかった。国内における史料収集に関しても、所属機関から出張許可が下りず、停滞した。また他の研究者も同様の事情であるため、比較史のための共同研究を推進することはかなわなかった。
それゆえ本年度も入手済みの史料の読解と論文執筆に重点をおいた。まず総裁政府期から七月王政期まで（1795年～1848年）のルアンにおける公式祭典の議事録および報告を分析したほか、これと当時のセーヌ・アンフェリュール（マリチム）県の初等教育に関する先行研究と対照させる作業を行った。今後、学校教育史料を入手して比較することにより、19世紀初頭の国民統合とその限界を示すことができる。
また本年度中に論説2本の公刊を予定していたが、イギリス・フランス・日本の三国の革命の比較研究（『比較革命史の新地平』山川出版社、2022年5月）、書評（「高橋暁生編『フランス革命を生きる』」『西洋史学』273号）、さらには哲学・啓蒙思想に関する事典が2冊、まもなく公刊される予定である。また藤原翔太著『ナポレオン時代の国家と社会ー辺境からのまなざし』 の書評を西洋近現代史研究会（2022年1月22日）に行った。さらには、阿河雄二郎著『近世フランス王権と周辺世界―王国と帝国のあいだ』の書評も、関西フランス史研究会（2022年4月23日）にて行う予定である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度におけるルアン市立文書館、セーヌ＝マリチム県文書館、パリの国立文書館および国立図書館における教育関連史料の収集は断念したが、19世紀半ばまでの祭典および公式行事に関わる史料はほぼ入手できており、その分析は当初の予定以上に進んでいる。
2022年度に再度渡仏し、総裁政府期、統領政府期、帝政期、復古王政期、七月王政期ルアンにおける公教育に関連する史料の入手を計画している。
|
| 今後の研究の推進方策 |
2018年度、2019年度においてはセーヌ・マリチム県文書館およびルアン市立図書館において史料整理・新史料の入手に時間を要したため、また2020年度、2021年度においては渡仏がかなわなかったため、パリの国立図書館・国立文書館における史料収集が進んでいない。2022年度秋の再渡仏を予定しているが、新型コロナウィルス感染症の蔓延、ワクチン接種および航空事情によりかなわぬ可能性もある。
幸い、これまで祭典・公式行事に関する史料、また多くの文献の入手は終えており、データ分析も進んでいる。これらに関する論文執筆を行うことに支障は少ない。パリおよびルアンにおける公教育資料の入手を優先するが、渡仏できない場合は、入手済みの史料を用いた研究業績の公刊も視野に入れる。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行の為、計画していた渡仏・史料収集を断念し、研究を1年延長したためである。
2022年秋に渡仏するさいの旅費、また文献などの物品購入費に充当する予定である。
|
