研究課題/領域番号 |
18K01040
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
渡邊 千秋 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (00292459)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カトリック / アクシオン・カトリカ / プロソポグラフィ / フランコ独裁 / 教皇庁 / スペイン / 内戦 / グローバル |
研究実績の概要 |
前年度にひきつづき、Covid-19の影響で、2021年度においても研究プロジェクト開始当初に予定していたスペインでの現地調査・資料収集を実施することはできなかった。他方で、より便利になったインターネット環境を活かした在ヨーロッパの研究者との意見交換などは継続して行っている。 今年度は、2021年9月に対面とインターネットを通じたハイブリッド形式での大会開催がなされたEuropean Academy of Religion (EUARE)をはじめとする国外の国際学会で個人報告を行うことが出来た。またスペイン・マドリードの出版社から2021年7月に共著書が出版された。このような歩みが、より平常に近い研究状況を取りもどすきっかけとなってくれることを切に願う。 スペインへの渡航が不可能であったため、引き続き、手元に保有する文献資料の整理と解読につとめた。他方、スペインでの資料収集をあきらめたわけではなく、できる準備をしながら、将来の機に備えている。研究者間の意見交換から着想をえて、フランコ独裁体制前後に日本にやってきたスペイン人宗教者の心性と「ナシオナル・カトリシスモ」のあいだにある関連性にも視野を広げながら、日本にいながら入手可能な文献史料を入手し、調査を行った。 フランコ独裁期に日本に住んだスペイン出身の宣教師・修道女に研究対象を拡大しつつ、研究当初の計画で用いようとしていたプロソポグラフィの分析手法を使うことについても、実現の可能性を探っているところである。日本にやってきた宗教者個人の歩みや思想を対象として、スペインの国内的な状況と考えられてきた「ナショナル・カトリシスモ」をトランスナショナルな視野から分析する新たな方向性をえたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度同様であるが、Covid-19の影響下にあって、Biblioteca Nacional de Espana, Biblioteca UPSA,Archivo General de Administracionなど、スペインの図書館・文書館での資料収集・調査ができないことにより、当初の計画に遅れが生じている。他方、ヨーロッパ在住の研究者たちとの意見交換より着想をえて、研究対象を第二次大戦後に来日したスペイン出身の宣教師・修道女などに広げるならば、フランコ独裁期のスペインにおいて特徴的であったはずのナシオナル・カトリシスモの思想的な影響が日本のカトリック教会のなかでもみられる可能性がある、という気づきを与えられた。そのため、現在はスペイン出身の宣教師・修道女の現代日本における活動に関する資料収集を日本国内において実施しはじめたところである。他方、実際にスペインへ渡航できる日がきたときのための下準備にあたってもいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は2022年3月に終了する予定であったが、2023年3月まで、1年の延長期間をいただき、引き続き研究を継続・推進する予定でいる。研究テーマの方向性を拡げたこともあり、新たな資料収集を行いつつ、できる範囲で国内・国際学会での研究報告の実施、また論文執筆を予定している。研究者間の意見交換の場をできるかぎり確保したいと考える。ヨーロッパでは人の往来の自由度が増し、今期は対面のみの大会方式に戻す可能性があるとも聞いている。ハイブリッド形式が浸透しつつあると考えていたが、今後の状況次第で臨機応変に対応したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の影響により、2019年夏季の渡航を最後に、スペインを訪問できていない。そのため、当初計画していたスペインでの資料収集・現地調査が滞っており、研究に遅れが生じるとともに、未使用額が生じている。この度、当初計画期間に1年の延長をいただき、できる範囲で研究の遅れを取り戻したいと考える。2022度中に資料収集のための渡航ができる状況になることを心から願う。また、テーマに関する視野の持ち方を拡げたこともあり、今年度は、日本国内での図書館・文書館等における資料収集もより積極的に行う予定でいる。
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備考 |
"Modernidad y religion en la Espana del siglo XX: entre el consenso y la ruptura” (PGC2018-099909-B-I00) (de 1-1-2019 a 31-12-2022).
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