研究課題/領域番号 |
18K01045
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
後藤 はる美 東洋大学, 文学部, 准教授 (00540379)
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研究分担者 |
正木 慶介 愛知県立大学, 外国語学部, 講師 (00757172)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 公共圏 / メディア / 新聞 / 民衆政治 / 諷刺 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、17世紀から19世紀初頭の大衆出版に着目し、それを軸に展開した公共圏の形成と変容過程を事例研究を通して明らかにすることを目的とする。 初年度である2018年度は、近世イギリスにおける大衆出版に関連する二次文献を体系的に調査し、研究動向を批判的に分析することが第一の課題であった。17世紀から18世紀初頭を研究代表者・後藤はる美が、18世紀半ばから19世紀初頭を研究分担者・正木慶介が担当し、3~4ヵ月に一度、意見交換を行いつつ研究を遂行した。また、長期休暇を利用し、ケンブリッジ大学図書館、英国図書館等にて資史料収集を進めた。これまでの先行研究の概観からは、検閲体制の崩壊した時期(イギリス革命期、王位継承排除危機期)の特殊性とその長期的インパクト、および18世紀の検閲廃止以降の状況との対比が再確認された。 さらに、別資金で来日していた、関連分野で活躍する海外研究者を招き、公開セミナーを開催した(Peoples and Revolutions 3: Rethinking Seventeenth-Century British History〔民と革命―17世紀イギリス史再考 3―〕、東洋大学、2019年3月10日)。革命期の大衆出版研究の第一人者アン・ヒューズ教授(キール大学名誉教授)と、その報道がイングランド内戦の引き金となった「アイルランド大虐殺」の指導的研究者ジェーン・オーマイヤ教授(トリニティ・カレッジ・ダブリン大学)との学術交流は、今後の共同研究の可能性を開拓するうえで大変有益であった。 本年度の成果の一部は後出の業績一覧にあるように公刊されたほか、上記セミナーの講演に関しても出版社との契約を得て、公刊の準備が進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近世イギリスの大衆出版に関連する先行研究の動向把握がすすみ、翌年度以降、さらに具体的に注目すべき点が明らかになった。また、中間的成果の一部が公刊、あるいは公刊にむけて準備が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、資史料収集と分析を進める。代表者後藤は、本科研を基課題とした国際共同研究加速基金の助成を受けて、1年間イギリスにて在外研究を行う。この機会を活用して、欧米の研究者との意見交換を進める。年度を通じて各自が事例研究を遂行し、国内外において中間成果を発表する(英語による成果発表も視野に入れる)。 後藤の一時帰国時、あるいはメールを介して研究分担者との研究打合せを行い、適宜進捗を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外招聘経費との兼ね合いで、PC購入を見合わせた関係で余剰が生じた。来年度は分担者への配分を多く見込んでいるため、代表資金として翌年度に繰り越すこととした。
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