研究課題/領域番号 |
18K01045
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
後藤 はる美 東洋大学, 文学部, 准教授 (00540379)
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研究分担者 |
正木 慶介 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (00757172)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 公共圏 / メディア / 新聞 / 民衆政治 / 風刺 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、17世紀から19世紀初頭の大衆出版に着目し、それを軸に展開した公共圏の形成と変容過程を、事例研究を通して明らかにすることを目的とする。昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症の流行拡大の影響が大きく、国内からアクセス可能な電子史料等を活用した調査と、Zoomを利用した研究打合せを中心とした活動となった。 今年度はとりわけ実証的な事例研究に取り組み、一定の成果を得た。研究代表者・後藤はアイルランド反乱(1641年)の証言録の同時代における出版に着目し、活字化の過程で「多声的」な情報が特定の政治的目的に沿って選別/編集、均質化され、「プロテスタント大虐殺」の「ニュース」として議会や世論に影響を与える様子を考察した。他方でカトリック側の出版物は、少数ながらも大陸の亡命者ネットワークを通じて発行された点に特徴があることが確認された。これらの成果の一部は『歴史学研究』小特集への寄稿論文として発表した。 研究分担者・正木は、中流層知識人に支えられつつも労働者による労働者のための結社であったロンドン通信協会の出版活動に着目し、イングランド急進主義の展開と労働者階級の公共圏への参加の複雑な様相やスコットランド/アイルランドの急進派との連携の契機をとらえる実証研究を進めており、その成果の一部は2022年度に公刊予定である。 本課題は本来は本年度が最終年度となるはずだったが、研究期間の延長が認められた。2022年度には最終的な成果の公刊をめざしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の流行拡大により渡航が制限され、イギリスでの史資料調査が実施できなかったため。また、オンライン授業導入に伴い教務負担が増加し、研究時間が著しく制限されたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間が延長され、来年度が最終年度となるため、雑誌論文の投稿を中心に最終成果の公刊をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者・分担者ともに新型コロナウィルス感染症の流行のため、海外での史資料調査が実施できず繰越金が生じた。2022年度も海外渡航の実現は危ぶまれるため、オンラインでの国際セミナーのためのPC等の整備や図書費等での支出に重点的に充当し、計画的に利用する。
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