研究課題/領域番号 |
18K01049
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
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研究分担者 |
奥野 良知 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20347389)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | トランスニストリア / 歴史認識の複数性 / 歴史博物館 / バルト三国 / カタルーニャ / 集合的アイデンティティ / モルドヴァ |
研究実績の概要 |
2019年度は現地調査(分担者・協力者合同および分担者単独)と、国内の外部研究会への参加を行った。具体的な内容は以下の通りである。 (1)①合同現地調査(年8月22日~26日):Oazu Nantoi国会議員、OSCE職員、歴史研究者Igor Casuと面談調査。トランスニストリア(沿ドニエストル)現地視察、歴史博物館等や学童施設の視察。(中期的成果)今回の現地調査は、8月下旬というモルドヴァにとって極めて重要な歴史的記念日の続く時期に実施した。同様に第二次世界大戦中にソ連に併合されたバルト三国とは異なり、モルドヴァの歴史認識の特徴は、民族的少数派と同多数派の間の相違だけではなく、多数派民族内での複数性と共存状態にある。ソ連による併合が同時にルーマニアからの解放でもあるのだが、それは単にレトリックの問題ではなく、現在のモルドヴァの国家の正統性に直結する政治問題でもある。非承認国家状態が続くトランスニストリアは、よく言われている通り、最も訪問しやすい非承認国家である。入域は、日帰りならばパスポートの簡単なチェックのみで可能である。同住民の歴史認識については、これまで研究蓄積がほとんどない状態である。1990年代初頭のトランスニストリア紛争について、歴史博物館における犠牲者認識の表象、自由と解放を求める「人間の鎖」という普遍的な表象は特筆に値する。「インターナショナル」の捉え方についても、独自なものがありより考察を深める必要があることが確認された。 ②分担者による現地調査(9月5日~10月3日):(概要)カタルーニャの独立運動の状況、集合的アイデンティティの史的形成等についてインタビュー調査や文献調査を実施。 (2)地域紛争研究会への参加(同志社大学、2019年12月21日):共同研究者の奥野良知がカタルーニャの事例について報告し、旧ユーゴスラヴィアなどの事例との比較を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度前半から中盤にかけては、研究計画通りに、メンバー全員での現地調査(合同調査は今年度はモルドヴァ)と国内の他の関連研究会での報告を実施することができた。現地調査では、資料収集やインタビューもおおむね順調に進んだ。 しかしながら、2020年3月に開催が予定されていたESSHC(ヨーロッパ社会科学史会議、 於オランダ・ライデン)が、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で1年延期となり、予定していた報告を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる2020年度は、研究分担者と研究協力者合同のカタルーニャ現地調査と現地における知見の共有を予定している。しかしながら、当初は、2020年9月に予定していたこの現地調査は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響でほぼ実施が不可能となっているため、日程を遅らせるのか、あるいは現地調査は行わず、遠隔会議システムなどを利用した意見交換等の場を設けるのかについて、研究分担者と相談しつつ決定する予定である。また、延期になっている、ESSHC(国際会議)については、変更後の予定通り2021年3月に開催されれば、成果発信の機会としたいが、現時点では不明である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に予定されていた、オランダ・ライデンにおける国際学会発表(ESSHC)が新型コロナウィルス感染症拡大の影響で延期となったため、そのための支出を予定していた研究代表者の旅費等を次年度使用にせざるを得なくなっため。
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