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2019 年度 実施状況報告書

啓蒙改革期ハプスブルク君主国における複合的国制と王権の地域認識

研究課題

研究課題/領域番号 18K01051
研究機関京都産業大学

研究代表者

岩崎 周一  京都産業大学, 外国語学部, 准教授 (60452041)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードハプスブルク君主国 / ハプスブルク帝国 / 複合君主政国家 / 近世ヨーロッパ / 諸身分 / 啓蒙改革
研究実績の概要

平成30年度に引き続き、研究課題遂行のため、2020年2月15日から同年3月8日までオーストリアの首都ウィーンに赴き、オーストリア国立公文書館(Oesterreichisches Staatsarchiv: Haus-, Hof- und Staatsarchiv)およびオーストリア国立図書館(Oesterreichische Nationalbibliothek: Sammlung von Handschriften und alten Drucken)において、1760年前後に皇太子ヨーゼフ(のちの皇帝ヨーゼフ2世)への進講用に作成された、ハプスブルク君主国傘下の諸国・諸邦についての地誌テキストの分析をおこなった。
その結果、この史料群が重臣バルテンシュタインの指揮のもと、当時国家行政の第一線で活動していた辣腕の官僚たちの協働作業によって作成されていたことが判明した。このため、この史料群は特定の個人ないし集団の見解を反映したものではなく、1760年代のハプスブルク君主国における中央行政を主導していた人々の共通見解と見なしうるものであるとの見通しを得るにいたった。そしてここでは、単なる妥協や必要悪としてではなく、諸身分が依然として強い力をもつ複合君主政国家 Composite Monarchy としてのありようが、七年戦争の経験を踏まえ、基本的に肯定的に捉えられていることが明らかとなった。
これにより、従来「啓蒙絶対主義」というキータームのもと、近世末期のハプスブルク君主国が中央集権的な官僚制国家への道を歩んだとする通説は、少なからぬ修正を必要とすることになる。ハプスブルク君主国は、マリア・テレジア期(1740-80年)においてなお複合的国制を保ったが、それは決して妥協の産物ではなかったのだった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画時に予定としていた通り、3割強の検討を終えることができた。また、計画当初には未発見であったが、前回および今回の研究調査を通じて発見した関連史料を閲覧することができた。さらに、前回デジタル撮影した史料の検討を、2019年度におおよそ予定通りに進めることができたほか、今回の研究調査においても、必要な史料のデジタル撮影を順調に進めることができた。現下の状況を鑑みると、新型コロナウイルス感染症の蔓延が本格化してパンデミックが宣言される前に、研究調査を滞りなく済ませることができたのは幸いだった。

今後の研究の推進方策

基本的には令和2年度(2020年度)においても、過去二年間と同様、ウィーンにおける研究調査を軸に研究を推進する予定である。また研究成果の発表についても、第70回日本西洋史学会の自由論題報告の場にて、「啓蒙改革期ハプスブルク君主国における複合的国制と王権の地域認識」と題した報告をおこなう予定である。
しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、令和2年度におけるウィーンでの研究調査は困難となる可能性がある。事態の推移を注視しつつ、場合によっては今年度にふたたび申請する予定の科学研究費助成事業・基盤研究(C)において、本研究における史料調査の補充を行う必要があると考えている。

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公開日: 2021-01-27  

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